2012年02月16日(木) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・33 |
「それにしても、本当によく眠ってましたね」 しかもこの状況で。ここまでくると呆れを通り越して感心すら覚えてしまう。 自宅でも宿でもない森の入り口で。周りを魔物に囲まれた状態で熟睡できるなんて常人にはできないことだ。少なくとも私にはできない。 「違うって言ってたけど何が違ったんです?」 一番初めにわいた疑問を投げかけると、『天馬を見に来た』という声が返ってきた。 「仕事が一息ついて家を出たらペルシェが見えて追いかけてたらここまでたどりついた」 「ペルシェ?」 当時はペルシェと呼ばれるものが何のことだか全然わからなかったから。姿を追いたくなるくらい珍しいものなのかなって思ってた。 「じゃあ、『ぺるしぇ』ってものを追いかけたら疲れて寝ちゃったってことですか?」 そう尋ねると、首をたてにふるかわりにうーん、という不可解な返事。 「ペルシェを追いかける途中で変なものを見つけた。追いかけてて、あんたに出くわした」 変なものって、何のことなんだろう。再度疑問をぶつけるとわからないとの声。頭が半分眠っていた状態だったからちゃんと認識できていなかったらしい。よくわからないものと間違えられるわたしって。 そもそも魔物に遭遇しても熟睡してられるほどの仕事ってなんなんだろう。今度はわたしが頭をひねりながら歩いてると、足先が何かにぶつかった。 「矢?」 わたしが使った武器はハリセンのみ。風をおこすことはできても矢を飛ばすなんて芸当はできない。 だったらどこから飛んできたんだろう。拾ってまじまじと見つめていると。 「どうやらうまくいったみたいだな」 第三者の声が耳に届いた。
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