つれづれ日記。
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2012年02月15日(水) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・32

 すぱん!

 風をきったような音が響く。そもそも舞台道具として作られたものだから、ハリセンからこんな音がしても何ら不思議はない。でも注目したいのは、音と共に生じた副作用。
 音と同時に突風がわく。とっさのことに目をつぶって、また開いて。
「……うそ」
 魔物は遠くにふきとばされている。その事実に気づいたのはだいぶん後になってからのこと。
「こっち来ないで!」
 ほうけてる場合じゃなかった。風撃で数はずいぶん減ったものの、完全に驚異が消え去ったわけじゃない。
 とにかく必死になってハリセンを振り回す。
 右。
 左。
 また左。
 意志をもって振り下ろせばちゃんと対応してくれるってことはわかった。なんとなくだけど、体術の延長と思えばいいんだと思えば身のかわしかたも理解できるし。
 と言うよりも。
「いい加減におきろ――!!!」
 三度目の怒号とともにハリセンを振り下ろして。
 それが、決定的な一打となった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ん……」
 目をこすりながらダークグリーンの瞳の男子がようやく目を開ける。おはようございますと皮肉をこめて言うと『おはよう』と返ってきた。続けて『何が起きたんだ?』とこの台詞。実はわざと言ってるんじゃないんだろうかって思えてくる。
「ゆっくり眠れたみたいで何よりです」
 さらに皮肉をこめて笑いかけると本当によく眠れたと返ってきて、初対面にもかかわらず本気で殺意がわいた。 






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