2012年02月14日(火) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・31 |
『可愛い女の子が一人旅なんて危険だから。お父さんの気持ちもくみ取ってとっておきの武器を作ってみたんだ。気に入ってくれると嬉しいな』 現れたのは故郷を旅だった時にお父さんが渡してくれたハリセン。一般的なそれとは一回り大きくて包みを広げた時は迷わず海に捨てようとした。それがなぜか、姿を変えて目の前に姿を顕している。 どこかの海のにーさん。 「これって一体何ですか?」 ここが海だったら間違いなく捨てているだろう。でもここは森の中で目の前には怪物がいて。猫の手もかりたいっていうのは間違いなくこんな状況のことだから、ぎりぎのところでハリセンを捨てずに握りしめる。 真っ白な厚紙でできていたはずなのに手にしたそれはうっすら青みがかっている。重さは以前の時と変わらないけど、これってもしかして、銀……?
『第一段階の具現化ができたなら、相手に向かって攻撃するんだ。君のイメージしやすいもの、そうだな。剣でもいいし槍でもいいし。想像にあわせて武器が勝手に動いてくれるから』 わたし、イオリ・ミヤモトは医療を学ぶためにティル・ナ・ノーグまでやってきた。だから断じて見ず知らずの怪物とハリセン片手に戦うためにきたのでは断じてない。 なのに、なんでこんな状況にいるんだろう。 「どこかの海のにーさん恨みます!」 ぶつぶつつぶやきながらハリセンを握った手にぐっと力を込める。護身術程度の体術は習得しても剣や槍の扱いなんて全く知らない。 本当になんなの? この状況。わたしはただ医学の勉強がしたかっただけなのに。 それもこれも。 「なんとかしろーーー!」 感情をむき出しにした声と同時に武器を振り下ろす。後先なんて考えられない。ただただやけっぱちだった。
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