2012年01月14日(土) |
たまにはお花見を(仮)7 |
「知ってるかい、フォルト。あいつ(猫)は魚を食うんだ」 「猫が魚を食べるのは当然の行動では? そしてさらりと人を愛称づけで呼ばないでください」 「いいじゃないか。減るもんじゃないし。それよりも見てよ。あの恐ろしそうな爪。何を考えているかわからない闇色の瞳。まさに怪物意外の何者でもない」 正確には彼女は本物の猫ではない。猫の姿になる一歩もしくは二歩手前といったところか。足は獣のそれではあるが両腕、とりわけ手指は人間のものであるし耳に届く声は明らかに人間だ。 「さっきからずいぶん言いたい放題ですのね。それとも本当に体をかじってさしあげようかしら」 「ほら。あんなひどいこと言ってる――」 「てい」 いい加減事態に辟易していたフォルトゥナートが杖を軽く振り下ろすと藍色の髪の男は床に倒れた。 「うわ。今わざとぶつけなかった?」 「気のせいです。それよりも早く捜し人を見つけてください」 「だから捜してるけど見つからないんだ」 全く事態の収集がつかない。いっそのこと、もう一度振りかざして倒れた隙に自室へ帰ろうかと思案していると。 (「それくらいにしてやれ。ヤーヤ」) 声とともに現れたのは、ようやくリザが探し求めていた人物――精霊だった。
過去日記
2011年01月14日(金) 「描写力がつくかもしれない30のお題」その12 2010年01月14日(木) 「文章修行家さんに40の短文描写お題」その11 2005年01月14日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,39UP 2004年01月14日(水) SHFH9−8
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