つれづれ日記。
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2010年07月06日(火) 委員長のゆううつ。その2−36

 修学旅行と銘うった異世界旅行も五日目。
「リズ達は先に行っちまったよ」
 そこに叔母さんや先輩達の姿はなく、代わりにいたのはマリーナさんだった。
「マリーナさんは行かなかったんですか」
「土地勘のない人間を一人にしておくわけにもいかないだろ」
 昨日のあたしとまったく同じことを言った。確かにこんなところに一人取り残されたら最悪命を落としかねない。
「何かあったんだろ?」
 腫れるといけないと思って昨日はぬれタオルで顔を冷やしておいたのに。そう言ったら顔に出てるって言われた。
「異世界デビューに失敗しました」
 膝をついてぽつりと昨日の一部始終を語る。巨大うさぎに遭遇したこと。逃げるばっかりで何もできなかったこと。先輩と喧嘩した――というよりも、一方的に落ち込んでしまったこと。
「あの子なりに気を遣ってくれたんじゃないのかね」
 話し終わった後にマリーナさんが言ってくれた。初心者が異世界で何もできないのは当たり前。いちいち落ち込んでたら話が先に進まないとのこと。じゃあ先輩も初めてこっちに来たときは何もできなかったんでsかと尋ねたら、はじめから一通りのことはできていたそうだ。世の中、何か不公平な気がする。
 でも。
「マリーナさんがいてよかったです」
 目の前の女の人に頭を下げる。一人だったら心細かったしかといって先輩だったら気まずかった。カリンくんでもよかったかもしれないけど、今は同性にそばにいてもらったほうがほっとする。
「あたしだけじゃないよ。こいつもいる」
 そう言って視線をあたしから、後ろの方におくる。そこにいたのは一匹の巨大な犬――いや、狼だった。






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