2010年06月15日(火) |
委員長のゆううつ。その2−17 |
部屋を出ると、カリンくんに遭遇した。 「おはようございます。早いんですね」 いつもと変わらぬ民族衣装。翠玉の瞳はあいも変わらずきれいで。 腰には剣をたずさえている。たぶん、物語に出てくる騎士とかってこんな感じじゃないかしら。ぼんやりとそう思う。 「あたしは習慣づいちゃって」 家では朝六時半に起きて準備をする。課学校までは駅まで徒歩五分と電車で二十分、終点から徒歩十五分の合計四十分かかる。課外は受けてないし八時過ぎに着けば充分だから、早めに起きて家で勉強することもある。人間、長年つちかった習慣はなかなか抜け出せないということだ。 「カリンくんも早いですね。いつもそうなんですか?」 同じ言葉を返すと彼はそうですと続けた。 「なんだか寝付けなくて。うとうとしていたらこんな時間になってしまいました」 「寝付けないって、何か気になることでも?」 「いえ。海の中は何度来ても慣れないもので。 あと、皆さんは元気にしているのか、イオ様はどうしてらっしゃるのかと思うと」 「イオ様って?」 何気なく聞いただけなのに、なんでもないですと淡く微笑まれる。むしろ、それよりもと顔を近づけられた。 「どうしてセイルさんは『センパイ』なのに僕は名前のままなんですか?」 真顔で何を言い出すんだこの人。 「カリンくんは同じ学校に通っていたわけじゃないですし」 「だったらせめて、彼と同じように呼んで下さい」 なんだか無茶苦茶な気もする。 「じゃあ、あたしに対する態度が変わったら私もあらためます。それまではくんづけで勘弁して下さい」 「僕は生まれつきだからいいんです」 やっぱり無茶苦茶だった。
過去日記
2008年06月15日(日) オリキャラ実は…バトンです。 2006年06月15日(木) 中間報告十七回目 2005年06月15日(水) 「EVER GREEN」7−9UP 2004年06月15日(火) パソコン教室 2003年06月15日(日) 父の日。
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