2010年05月23日(日) |
委員長のゆううつ。47 |
正直どう反応していいかわからない。三十半ばをすぎたオバサンの恋愛話を聞いても、しかもそれは自分の母親ならなおさらだ。 「お母さんは、あたしがいるってわかって、どう思った?」 「嬉しかったのと、とまどいと半々かな」 そう言って苦笑する。 「これで、あいつとの繋がりができたってね。あんたがいれば、帰ってきたときに思い出してくれるんじゃないかって。でも女手一つで育てるのはなかなか大変だったから。周りの人に頭下げて。死にものぐるいで働いた」 こっぴどくやられたものの里帰りと仲直りができたから、少しはよかったかもねと続けられ、ますますどう答えていいかわからない。あたしの人生がめずらしくないなら、お母さんの人生は滅多にない人生だ。 「お母さんは、あたしを生んでよかった?」 「当然でしょ。一人はさみしいからね。みんなと繋がっていられるのもあんたのおかげよ」 そう言ってもらってちょっとだけ嬉しくなった。 「だけど。あいつはまだ一人なのかもね」 横顔は乙女のままで。どちらかというと、いつもはがさつな部類に入るお母さん。でも最後の最後では人の良さが出てしまう。あたしはお母さんのこういうところは嫌いじゃない。 「あんたは全うにやってきてくれたからね。二週間だけ多めに見てあげるわよ。ただし、電話はちゃんと入れること。それと」 「それと?」 「お父さんに会ったら二発ぶんなぐってきなさい。お母さんのぶんと、あんた自身の分ね」 「わかった」 母親の依頼に思いっきりうなずいた。
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2005年05月23日(月) 微妙に日記も変更 2004年05月23日(日) 母上様パソコンを始める
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