きっとあれだ。疲れているんだ。 バイトを入れすぎたのが悪かったのか。そうだな。いくら金穴といっても体をこわしたらもともこもないだろう。 ここはあれだ。麦茶じゃなくてかき氷でも買ってくるべきだったか。 「お気に召しませんでした?」 いや。無いものねだりしても仕方ないんだ。美味しかったよ。ありがとう。 それにしても今日は暑いな。幻覚や蜃気楼まで見えるくらい暑いな。 「もしかして熱があるんじゃないんですか? お体お大事にして下さいね」 あんたもな。 「私ですか?」 足が見えなくなるくらい病弱じゃないか。 「わたしははじめからなのでいいんです」 「…………」 そろそろ、現実にもどるべきだろうか。 ちりん。 風鈴がゆれる。 風鈴の横にたたずむのは藍色の浴衣を着た女(足なし)。 金輪際、露店販売には手を出すまい。 生ぬるい風をうけながら、俺は一人夜空に誓った。
過去日記
2005年05月09日(月) 「佐藤さん家の日常」お題編01UP 2004年05月09日(日) 今日のIさん
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