2010年05月08日(土) |
委員長のゆううつ。34 |
「驚かせてしまってすみません。怪我はありませんか」 カリンくんの声にこくこくとうなずく。対応に差がありすぎじゃない? と約一名非難の声があがるも再度無視。 「ここってどこなんですか?」 昨日もした質問をこれまた同じ人にぶつける。 「水の里です」 わかってたけど、今日も地球じゃなかった。水の里ですか。そうですか。ちなみにあたしの街にも同じ名前のところがありますよ。お土産屋さんだけれど。 「さっき水面に突き落とされて死のダイビングをしてました」 ぱんぱんと肩についたほこりをはらう。びしょぬれかと思いきや、撥水加工の制服はまったく濡れてない。髪はぼさぼさだったけど、ブラシを持ってきてなかったから手ぐしでなんとか整える。 「言ってなかったんですか?」 「十説明するより一遍ですんだほうが手っ取り早いでしょ」 カリンくんの非難めいたまなざしに肩をすくめる先輩。 「ここの成り立ちを一から話せって? 学者じゃないんだからぼくにはできないよ」 ここで二人の押し問答。だいたいあなたは、とかカリンくんが几帳面すぎるんだってとか聞こえる。なんとなくだけど、先輩のあの態度は日常的なものだってことがよくわかった。 「後でちょっとずつ話してくれればいいです」 嘆息して告げるとカリンさんは真面目な顔をした。 「行きましょう。リズさんが待っています」
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