2010年04月23日(金) |
委員長のゆううつ。20 |
「どのあたりから話せばいいでしょうか」 はじめに切り出したのは長身の男の人だった。 「その前にお名前教えてもらってもいいですか」 そう言えばまだ名前も聞いてなかった。サンドイッチや紅茶までごちそうになってたのに。 「僕はカリン・エイクと言います。これからどうかよろしくお願いしますね」 そう言って深々と頭を下げる。さっきから思ってたけどなかなか腰の低い人だ。 「高木詩帆(たかぎしほ)です。楠木高校の1年6組29番です」 「わかりました。シホさんとお呼びすればいいですか」 「はい。私もカリンさんって呼ばせてもらいます」 「そんなにかしこまらなくてもいいですよ。……と言っても緊張してしまいますよね」 翡翠色の瞳は表情と同じく優しい。初対面がこの人でよかった。他の人だったらどんな目にあっていたことやら。 「彼はセイルです。お知り合いのようですね」 「まあ」 「当然。ぼくって先輩だから」 胸をはるのは銀色の髪の男の人。どうでもいいけど『先輩』ってフレーズがお気に入りみたいだ。そのわりにはさっきサンドイッチを横取りされたけど。 「ここが学校じゃないってことは理解できる?」 首を縦にふる。 「じゃあ、ここがニホンってところじゃないってことは?」 なんだか話が世界規模になった。 「じゃあ、ここが地球ってところじゃないことは」 最後に話が地球規模になった。 「じゃあ、ここってどこなんですか」 眉根を寄せると二人の男の人達は互いに顔を見合わせる。 腕組みをした後、口を開いたのは先輩の方だった。 「霧海(ムカイ)ってとこ(世界)だよ。ここは」
過去日記
2005年04月23日(土) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,52UP 2004年04月23日(金) 「EVER GREEN」5−12UP
|