2008年02月06日(水) |
03. 西洋人形のような少女 |
アンティークドール。 とっさに浮かんだ言葉はこれだった。 金色の巻き毛に伏せたまつ毛は長く、瞳からのぞかせるのは翡翠を思わせるような色。 肌の色はこのさいおいとくとして。これに黒のワンピースでも着せれば等身大の立派な西洋人形のできあがり―― 「何を見ている」 そこで思考は中断された。 「なんでわたくしがこんなことをしなければならない」 うろんな視線を向けるのは気のせいではないだろう。 「お前もなぜ止めない」 「なぜって」 「だっておもしろそうじゃん」 わって入ったのはこの部屋の主だった。 「こんなにきれいな人がいたら試したくなるし」 「ホントにシェーラってこういう格好が似合うのね」 隣には公女様。こっちは口紅を握っている。ちなみにさっきの主は右手にブラシを持っていた。 「大家さんの言うことは黙ってきくもんでしょ」 「だ、そーだ」 ここは諸羽の部屋で中にいるのはシェリアとオレと実験台となったシェーラ。 シェリアとシェーラは諸羽に恩があり、部屋の住人じゃないオレは、あくまで傍観者なわけで。 一対二じゃ明らかに分が悪い。 お嬢がんばれ。 なおも続く女子達との格闘に、オレは心の中でエールをおくった。
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たまにお嬢はこうやって諸羽に遊ばれてます。異世界に連れられ部屋を提供してもらっている手前、ないがしろにはできないわけで。 シェーラも昇ほどじゃないですが、年上の女の子の押しに弱いみたいです。
過去日記
2005年02月06日(日) まだまだ続いてます。 2004年02月06日(金) SHFH10−3
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