Mother (介護日記)
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2003年04月25日(金) 入院33日目 ( 殺人か尊厳死か )

今朝9時に義姉から電話が入ったので、昨日送ったメールに付け加えて説明をした。

やはり、義姉は心配を隠せない様子だった。
あまりに負担が大き過ぎる、と。



ケアマネに電話をした。
入院したために回収された介護ベッドを、もう一度手配してもらうためだ。

ケアマネは、
「訪問看護等の受け入れ態勢も整っていないのにあまりに無謀」 だと言った。

「物も食べられないと言うのに、点滴も辞めてどうするんですか?
 人間には最低限の水分が必要でしょう?」

まるで人殺し扱いだった。

先生は退院することについて、
『訪問看護の医師の手配ができないなら認められない』 などと一言も言わなかったが。
それが『殺人行為』にあたると言われていたら、私もまた考え直したのだが。

ネットで調べた時、
臨死患者にとっては食物も水も、患者の快適さを保つためには必要ではないと。
渇きを潤すために、氷のかけらを口に含ませてあげれば良いのだ、と書いてあった。

食べたいというのなら、何でも用意しよう。
しかし、本人が要らない、食べたくないと言うのに、
こちらの不安解消と自己満足のために無理に与えるというのはどうか?

熱がある時や、二日酔いの朝など食欲がない時に、
“食べなきゃダメよ” と無理強いしているのと似ていないだろうか?
次元が違うと言われてしまえばそれまでだが・・・


母は、これまで内科的に大きな病気などしたことがなかったので、『かかりつけ』などない。
2年前、最初に入院したのは近所の個人病院だったが、そこは悪名高く、
こんな時にわざわざ信用できない医者にかかることもなかろう。



「それで“自宅に戻ったら1週間くらい”って言うわけですよね?
 それだけのためにベッドを入れるんですか?
 もし、1週間後に退院するつもりでその前にベッドを準備して、
 それまでにもし病状が悪化して、当日退院できなかったとしたら、
 介護保険は使えませんので自費になりますけど、いいんですか?」

いいんだよ、払うよ、それぐらいのお金。
面倒ならいいよ、ベッドなんかなくたって。

ケアマネは何のためにいるのか?
私は腹立たしくなるだけで、
精神的な支えどころか逆に不安を煽っているだけじゃないか。

“そのような場合には自費になりますが、
 そのところご承知置きいただけますか?” って、どうして言えないかな?




救急車と言うのは“亡くなった人は運ばない”ものだというのが一般的な認識である。

では、母が自宅で亡くなった場合にどうなるか?

通常は、医師の目前ではないため「変死扱い」 となり、警察・検察が入り、
死因の特定のために解剖されるらしい。

解剖・・・

昨日、看護婦が、
「これまで2年間の経過を診ているので、退院時に先生にその旨お願いしておけば、
 呼吸が止まってからでも救急車でここまで連れて来て、
 先生に確認をしてもらって、死亡診断書を書いてもらうことができる」 と言っていた。

しかし、義姉やケアマネが心配しているので、消防署に電話して確認を取った。

「こちらは、要請があればそのようにできます。
 家族の目の前で息を引き取ったなら特別問題はありません。

 ただ、本来の病気とは別の、
 例えば、家族の留守中とか1人暮らしの方が風呂場で亡くなっていたなどと言う場合には、
 死因の特定ができない(溺死なのかどうか)ので、警察が入ることもあります。

 また、家族が思い余って・・・というケースもたまにありますので、一概には言えませんが、
 その時の状況をお話ししていただければ結構です。」

最悪、解剖されようとも、
母にとっては自宅に帰る望みが叶えば、それも許してもらえると思う。

私は、私が良かれと思う介護をして来たし、これからの数日についても、私が決める。
その責任は私が取るのだし。

自分がやったことの後悔は仕方ないが、
人に言われてやらなかった後悔は、その人を恨んでも恨みきれないだろう。

最期にどんなシーンが待っているのかは、予想できない。
ケアマネが言うように、そのギャップに苦しむこともあるかも知れない。
義姉が言うのをはばかるほどの悲惨な状況が訪れるかも知れない。

でも、乗り越えて行くしかない。


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