Mother (介護日記)
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2003年04月15日(火) 入院23日目 ( 抗がん剤停止 )

(親戚の面会)

今日はベッドに果物の箱と柏餅があった。

誰かが見舞ってくれたらしい。

「これ、誰にもらったの?」

「さぁ、誰だったかな?」

おそらく、市内の親戚のTさんだろう。

電話をして確認をした。

「私が行ったら、
『誰だっけっか?』 なんて言うもんだから、
『あらあら、自分のところに来てくれた人がわからないんじゃ困るわね』 って、
 看護婦さんに笑われてたよ(笑) やっと誰だかわかったと思ったら、
『○○(出身地)から来てくれたの? 遠いところから良く来てくれたね』 って。
 もう何十年も前から市内に住んでるよ、って言ったんだけどね。
『良くここがわかったね〜』 ってさ。
 娘に聞いたからわかるんだよ、って言ったのさ。
『娘に会ったのかね?』 って言うから、
 会わなくたって電話で聞いたからわかるよ、ってね・・・
 アンタもいろいろ大変だけど、頑張って看てやってね」




(嫁と姑)

隣のベッドの患者さん(70代?)は、寝たきりで点滴状態。
ここ数日、やっと食事ができるようになったが1人では大変なので、
家族(50代の夫婦)が補助に来るようになった。

当然のことながら食事の介助は嫁の役割、その間、息子は談話室でテレビを見て待っている。

それにしても・・・それぞれの家族にはぞれぞれのドラマがある。

まぁ、嫁姑と言うのは、これまでにいろいろとあったのだろうけど・・・

「今までしっかりしていた人なのに、まさかボケるなんて思ってもみなかった。」

「おばあさん、お昼は何を食べた? え? 思い出せない?」

『私はすっかりバカになっちまったねぇ』

「別にバカになったワケじゃない。 忘れただけ」

「おばあさん、どれを食べる? これ? こっち?
 やっぱ、肉にばっかり目が行っちまうかね?
 
 まだ食べる? もういらない? 食べるなら食べるって言ってよ、わからないから。

 ゆっくり食べな、別に急がなくてもいいから。 これも美味しそうじゃん。

 いい味だね、味がしっかりしているから、美味しいじゃん。

 これは? 食べる? いらない? あぁ、そう? おしまい? それじゃ片付けるね」


なんだか、聞いているだけでも切なくなってくる。
お姑さんは、半分ボケていて、言葉も思うように出てこないみたいだ。
そんなにまくし立てられたら、食べられないって・・・

いや、私も同じようなことを母に言ってるのだけどね。
人のこととして聞いているとね。
あぁ、でも私は姑には、ああ言う言い方はできないだろうな。
親にだから言えるのであって。

これまでにいろいろ蓄積したものが、
この時とばかりに噴出してると言うのか、仕返しっぽいような・・・

“あぁあぁ、あんなに威張ってた人が今はこんなになっちゃって、情けない” とでも言いた気で
“早く食事を終わらせて早く帰りたい” と言う気持ちがアリアリで。
もちろん、これはあくまでも他人である私の勝手な解釈なのであって、
当事者にしたら迷惑な話しなのだが・・・

他人に食べさせてもらうって言うのは辛いな、とつくづく思った。

で、今日はそのお嫁さんが来なかったので、母の合間にその姑さんのことも看てあげた。
やはり、平たい皿に盛られたお惣菜を、
片手しか使えない人にスプーンで食べろと言うのは無理がある。

姑さんは、なぜか私のことを「キョウコちゃん」 と呼んでいたが、
私は敢えて訂正もせず話しを合わせていた。




(抗がん剤の停止)

今日の夕飯は4割程度。

食後の薬に、あの臭いサンドミュンがなかった。

抗がん剤は月初から投与されて来た。
(そう言えばエンドキサンはいつの間にかなくなっていた)

医師からの説明がないので状況から勝手に推測するしかないのだが・・・
ステロイドパルス療法もやった、抗がん剤も使ってみた。
でも“期待した効果が得られなかった” と言うことになるのだろう。

つまりは、最初に言われた『効かなければ他にやりようがない』状況ということで。

食欲も体力も落ちているし、
私の姿を見つけた時のリアクションや声の大きさからみても、元気がないし・・・

もう家には戻って来れないのだろうか。


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