Mother (介護日記)
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2003年02月21日(金) 運転代行業に無理なお願い

昨日の検診で、
「次の予約の日(3週間後)まで風邪を引かずにいられたら、
 インフルエンザの心配はなくなるでしょう」 と言われた。

それまでは油断してはいけないのだろうが、今日はお天気が良く、
洗濯物を干している間、窓を開けていても寒いと感じなかったので、
お散歩がてら買い物に出てみることにした。

ズボンの上に私のスキーパンツもどき綿入りズボンを履かせ、
上はいつものフリースとロングのダウンジャケット。
酸素のカニューラの上からマスクをして、冷たい風を直接吸い込まないようにした。

空がとても青く、綺麗に澄んでいた。
部屋の窓から見るのとは違うような気がする。

こうしてのんびりと歩くのは、久しぶりだった。


 * * * * *


夕方になって、洗濯物を取り込んだら疲れが出て眠くなってしまった。
絹江のベッドに横になってウトウトし始めたら、絹江が帰って来た。

「ママ、ケーキは頼んでくれた?」

今日は絹江の15歳の誕生日なので、
本人の希望通り、町内のケーキ屋さんにイチゴの生ケーキを注文してあり、
夕方出来上がるとのことで、5時に取りに行くことになっていた。

まもなく5時である。

絹江はこれからピアノに出かける。

母をひとりで置いておくのは極力避けたいので、
当初はタクシーで自分だけ行くつもりだった。
ケーキ屋の近くには薬局もあるので、ついで昨日の薬も取りに行けば良いと考えていた。

しかし・・・疲れた・・・

今日はレフティーの帰りが8時近くになりそうだと言っていたので、
レフティーにお願いするわけにはいかなかった。

そこで『運転代行業』を利用できないか、と考えた。

私が勤めていた書店のオーナーから、
「最近『運転代行業』も始めたんだ」と以前に名刺をもらってあった。

運転代行業と言えば、
『自分の車で飲みに行って、帰りにその車の運転をしてもらう』のが一般的だが、
ケーキと薬を取ってきてもらうわけにはいかないものだろうか・・・

どこかで
“1人暮らしのお年寄りのためにお遣いをして来てくれるタクシー”と言うのを
聞いたことがある。

いったい、いくらぐらいでやってくれるのだろうか。

私がタクシーで行った場合、まずお迎え料金が120円。
1.5kmまで630円。その後258m毎に80円。
今回のお遣いの場合には往復で2km程度だから、
120+790=910円ぐらい。
母を置いて行く不安と、自分が出かける体力を考えると、
タクシーで行った場合と同じ金額を支払っても、その方が安心でラクである。

書店オーナーに相談を持ちかけたところ、
初めての注文に少々戸惑ったものの、快くOKしてくれた。

さっそく、薬局とケーキ屋に電話をして営業時間を確かめ、代わりの人が行くことを伝えた。
薬局には、昨日のうちにFAXが行っており、1包化が出来上がっている。

オーナーの経営する書店の場所を考慮して、
オーナーには、申し訳ないけど薬とケーキの代金を立て替えてもらい、
薬局には『処方箋の現物は後で届けるので』と無理を言って、
薬局 → ケーキ屋 → うち → 薬局 と言うコースにしてもらった。
オーナーは、夫人と二人で書店をやっているため、時間は指定せず、
ケーキ屋の閉店する7時までに行ってもらえれば・・・とお願いした。


6時前、玄関のチャイムが鳴り、
絹江がピアノから帰るよりも早くオーナーがやって来た。

「今日は、突然、無理なことを言って申し訳ありませんでした」

「いや、うちもこれからは、こういう仕事もしていかなくては、と考えていたところなので」

オーナーは、例外的な注文に対し実に良心的な料金設定をしてくれた。

「700円です」

「え? 700円ですか? それじゃ、片道分にしかなりませんよ」

「これが、代行運転の場合の料金表なんですけど、
 代行運転と違ってこういう場合は1人でやりますので・・・」

代行運転の場合、2kmでは2000円と設定されていた。

「今後、料金設定は検討してみますけど、これよりも高くなることはありませんから」


これからも『どうしても』という時には利用しようと思う。
使えるものは何でも使って、ラクをすればいい。


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