Mother (介護日記)
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2002年12月31日(火) お正月を前にして

子供の頃のお正月は、特別だったような気がする。
(地元の新聞にも、そのようなことが書いてあった)
商店はみんな休みで、着物を着た人が歩いていて、凧揚げや羽つきをしていた。

今はただ『次の日になった』だけのような感じがする。
商店は休まないところが増えた。 着物の人を見かけることはなくなった。
(神社近くには集まるのだろうが)

なんと言うか、神聖さがない・・・とでも言うのか・・・
この年齢になって、それがなんとなく寂しく思えて来た。


伝統が守られていくのは、
こういう中年以降の心理が大きく影響しているのかも知れない。

『おせち料理なんて食べないし』と言って買うこともなく、
作る気など到底なかったのが、今年は“やってみよう”と言う気になった。
とりあえず煮物だけは作って、レフティーが詰め合わせを買って来た。


これまでの結婚生活は、
共働きと子育てと、またパートタイマーとで、めまぐるしく過ごしてきたが、
こうして母の介護を理由に家に入り、少しだけ時間的なゆとりができたとも言える。



うちは貧乏だったけど、
お正月にはウールだけど着物を着せてもらったし、新しい下着を着ていた。
洋服も靴下も「これはお正月になったら着るのよ」と言われて、
買ってからもしばらくの間、下ろさずに待ち遠しく眺めていたものだ。

そうやって「特別の日」にだけ着る服は、子供の成長に追いつかず、
数度着ただけで着れなくなってしまったが・・・

今は『よそ行き』と呼ばれる服も特になくて、街のみんなは日頃からオシャレになった。


今回は、母の下着だけでも新しくしようと思って買いに行った。
ズボン下も、もも敷きだと足首が細くて着替えさせるのが大変なので、
ゆとりのあるタイプを選んだ。
シャツは、胸元にレースの施されたピンク色を選んでみた。

お風呂に入れてからそれを着せてあげると、とても喜んだ。


酸素吸入が決まった時、
もしかしたら、お正月を迎えられないのではないかとも思って悲観したが、
おかげさまで、ここまで来ることができ、本当に良かった。


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