Mother (介護日記)
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子供の頃のお正月は、特別だったような気がする。 (地元の新聞にも、そのようなことが書いてあった) 商店はみんな休みで、着物を着た人が歩いていて、凧揚げや羽つきをしていた。
今はただ『次の日になった』だけのような感じがする。 商店は休まないところが増えた。 着物の人を見かけることはなくなった。 (神社近くには集まるのだろうが)
なんと言うか、神聖さがない・・・とでも言うのか・・・ この年齢になって、それがなんとなく寂しく思えて来た。
伝統が守られていくのは、 こういう中年以降の心理が大きく影響しているのかも知れない。
『おせち料理なんて食べないし』と言って買うこともなく、 作る気など到底なかったのが、今年は“やってみよう”と言う気になった。 とりあえず煮物だけは作って、レフティーが詰め合わせを買って来た。
これまでの結婚生活は、 共働きと子育てと、またパートタイマーとで、めまぐるしく過ごしてきたが、 こうして母の介護を理由に家に入り、少しだけ時間的なゆとりができたとも言える。
うちは貧乏だったけど、 お正月にはウールだけど着物を着せてもらったし、新しい下着を着ていた。 洋服も靴下も「これはお正月になったら着るのよ」と言われて、 買ってからもしばらくの間、下ろさずに待ち遠しく眺めていたものだ。
そうやって「特別の日」にだけ着る服は、子供の成長に追いつかず、 数度着ただけで着れなくなってしまったが・・・
今は『よそ行き』と呼ばれる服も特になくて、街のみんなは日頃からオシャレになった。
今回は、母の下着だけでも新しくしようと思って買いに行った。 ズボン下も、もも敷きだと足首が細くて着替えさせるのが大変なので、 ゆとりのあるタイプを選んだ。 シャツは、胸元にレースの施されたピンク色を選んでみた。
お風呂に入れてからそれを着せてあげると、とても喜んだ。
酸素吸入が決まった時、 もしかしたら、お正月を迎えられないのではないかとも思って悲観したが、 おかげさまで、ここまで来ることができ、本当に良かった。
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