Mother (介護日記)
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今日のニュースで、 「62歳の痴呆症の母親を、29歳の息子が殴って殺してしまった」とあった。
この母親は8年前から物忘れや怒鳴るなどの痴呆症があったといい、 その日も、テレビに向かって独り言を言っていたらしい。
29歳の息子にとって、8年前と言えば若干21歳。 62歳の母親は、54歳ですでに痴呆が始まっていたことになる。
29歳の息子には、おそらく同じような体験を持つ友達もいなかっただろうし、 どこかに相談に行くことにも気付く余裕がなかったかも知れない。
仕事には行っていたのだろうか? 疲れて帰れば、温かいご飯とお風呂が準備されていただろうか? 洗濯やアイロンは母親がしてくれていたのだろうか?
癒されるべき家庭において、母親の存在は大きい。
1人暮らしをしていて自分で家事をやらねばならないと言うのと、 家に母親がいるのに、してもらえないと言うのはワケが違う。
体は元気なのに、やることも話すことも理解できないことばかり・・・ そこには、寝たきりの母親を看るのとはまた違った大きなストレスがある。
うちの母の被害妄想は、私が小学生ぐらいの時には既にあった。 ただ、こちらが病的だと認識するまでに時間がかかったのだ。
私もこれまで母とのイザコザが絶えなかった。 どれほど悲しく切なく、また怒りに震え、憎しみに満ちていたか・・・ まわりに理解されることが少なく、家族は辛い立場におかれた。
私も、1歩間違えていたら、紙面に出ていただろうと思う。
彼にも、理解してくれる人がそばにいて、もう少し頑張っていたら、 もしかして、うちの母のようにある時から痴呆症状もラクになったかも知れないが・・・ それは不確定なことであるし、 それまでの道程は、1日1日が途方もなく長いことを私は知っている。
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