米国発 金融危機関連情報

2009年05月09日(土) 米国の根本の病根は

1、金融機関の資本不足、10社で7兆4000億円
                   2009年5月8日日経
2、資本不足、バンカメが突出の見込み 米金融機関の資産査定
                   2009年5月8日  日経

 米国は巨大製造業(ビック3)巨大生保(AIG)巨大銀行(バンカメ)などが実質破綻状態である。どこに根本的な問題があるのか・・この視点での論説を読んだ記憶がない。すくなくとも、無貞節というような隠れた病根が深く根を張っているように思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1、 金融機関の資本不足、10社で7兆4000億円 資産査定結果公表
                      2009年5月8日日経
 【ニューヨーク=財満大介】米連邦準備理事会(FRB)は7日、大手金融機関19社の健全性を調べる資産査定(ストレステスト)の結果を公表した。景気が悪化した場合、シティグループ、バンク・オブ・アメリカなど10社が2010年末に資本不足に陥る恐れがあり、不足額は計746億ドル(7兆4000億円)に上るとしている。
 ほかに資本不足の恐れがあると指摘されたのは、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレー、GMAC、フィフス・サード、キーコープ、PNCファイナンシャル、リージョンズ、サントラスト。 (06:24)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2、資本不足、バンカメが突出の見込み 米金融機関の資産査定
                   2009年5月8日  日経
 【ニューヨーク=財満大介】米政府と米連邦準備理事会(FRB)による金融機関の健全性を審査する資産査定(ストレステスト)で、大手銀行バンク・オブ・アメリカの資本不足が突出する見込みとなった。バンカメの資本不足は340億ドル(約3兆3000億円)と全体の半分近くを占めるとみられる。大手19社全体では少なくとも670億ドルの資本不足が見込まれ、米金融機関は資産売却や増資、公的資金申請などの対応を迫られる。
 大幅な資本不足が想定されるバンカメは保有する中国建設銀行の株式や資産運用部門の売却などを進める方針。だが売却先の決定には至っておらず、優先株の普通株転換などを含めた具体的な資本増強への取り組みは今後の課題だ。
 一方、米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、バンカメと同じように大幅な資本不足が懸念されていたシティグループの不足額は最大60億ドルにとどまる見込み。(00:58)

-----------------------------------------------------------------


社説:米金融検査―これで楽観できるのか
                    2009年5月9日 

米金融当局が、大手19銀行に対する特別検査の結果を公表した。これをもとに当局は楽観的な空気を広めようと努めているが、そんなにうまく事が運ぶのか、疑念は消えない。

 検査は、今後2年で米経済が一段と悪化した場合に、銀行の自己資本がどれだけ不足するかを推計した。19行で最大5992億ドル(59兆円)の損失が生じ、うち10行が計746億ドル(7.4兆円)の資本不足に陥る可能性があると指摘された。

 不足行は半年以内に資本を増強しなければならない。独力で調達できない場合は、政府が公的資金を注入する。ただし、各行は「政府の資金は必要ない」と説明している。

 連邦準備制度理事会のバーナンキ議長も「今回の結果は投資家や世論に安心感を与えるだろう」と胸を張った。議長はこのところ「米景気は今年遅くに上向くと期待している」と語るなど、強気の見通しを語っている。ニューヨーク市場の株価も歓迎して、一時8500ドル台を回復した。

 しかし、米銀の損失や資本不足がこの程度で済むのだろうか。

 国際通貨基金(IMF)は4月時点で、米銀全体に2兆8千億ドルの損失があり、資本増強が最大5千億ドル必要になると推計している。

 一方、大手19行の資産は米銀全体の3分の2を占めるといわれる。検査結果を単純に1.5倍しても損失は9千億ドル、資本増強は1100億ドルにしかならない。その差はざっと3倍、5倍にもなる。「IMFの推計は過大」と議長は言いたげだが果たしてどうか。住宅価格の下落もまだ続いている。

 日本のバブル崩壊後をたどれば、旧大蔵省が当初発表した不良債権は18兆円だったが、その後発表し直すたびにずるずると増え、結果的には100兆円前後にまでふくらんだ。裏には、公的資金の投入に猛反対する世論と、銀行行政の失敗を表面化させたくない旧大蔵省の思惑があった。

 米当局もいま苦しい立場にある。銀行に注入できる公的資金の残額は1346億ドルしかない。議会は高給を享受した金融界に不信を募らせており、資金枠の追加を通すのは極めて難しい。もし話を切り出せば金融界に対する責任追及論に火がつき、官民共同で基金を設け不良債権を買い取っていく、というオバマ政権の金融再生策が空中分解しかねないところにいる。

 そうした事情から当局は事を荒立てるのを避け、検査結果が手持ちの資金枠に収まるよう穏便に済ませたのではないか。そんな疑念もぬぐえない。

 米当局は楽観シナリオに賭けた。当面は共同基金での不良債権買い取りに軸足が移る。だが、もし損失処理を先送りすれば、経済の落ち込みを長引かせ、傷を深めることになる。













 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ [MAIL]

My追加