米国発 金融危機関連情報

2009年04月15日(水) GM・クライスラー債権者の激震


報 道
ビッグ3追加支援策でウォール街に損失の激震
ニューズウィーク日本版4月 8日(水)

報道によると
・GMには巨額の長期債務は290億ドル(2兆9000億円)
・クライスラーの負債は約240億ドル(2兆4000億円)
であるという。

 面白い情報を知った。
「また同社(GM)の信用格付けがジャンク債(投資不適格)」に下がったということは、債権者の大半がヘッジファンドなど投資会社になることを意味する(投資信託会社や年金基金、保険会社など機関投資家はジャンク債を避けるものだ)。GMの社債は「回収困難」と呼ばれる水準で取引されている。2年以内に満期を迎える社債は現在、額面の20%の価値しかない」(報道から)」

 オバマは、「破産法適用」も視野に入れていることを表明した。不良資産の政府の保証を期待したヘッジファンドが大損する趨勢なのだ。

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ビッグ3追加支援策でウォール街に損失の激震
ニューズウィーク日本版4月 8日(水)
米政府の支援をあてこんでGMの社債やクライスラー株を買い込んだ「PE(未公開株)ファンド=ヘッジファンド複合体」に、オバマ大統領が冷たく「ノー」を突きつけた

ダニエル・グロス(ビジネス担当)

 オバマ米政権が3月23日に発表した金融機関の不良資産買い取り計画に、「プライベートエクイティ(未上場企業への投資や企業買収で収益を上げる投資会社)=ヘッジファンド複合体」は大喜びした。だが3月30日にバラク・オバマ大統領が発表した自動車産業への追加支援策で、それがぬか喜びだったことを思い知らされた。

 ゼネラル・モーターズ(GM)のリック・ワゴナー会長兼CEO(最高経営責任者)の更迭に加え、明らかになった追加支援策の詳細はGMとクライスラー両社の利害関係者にとってまさに凶報だった。

 GMについては、株式よりも債務に焦点が当てられた。GMには巨額の債務があり、08年第4四半期の決算発表によれば、長期債務は290億ドルを上回る。

 また同社の信用格付けが「ジャンク債(投資不適格)」に下がったということは、債権者の大半がヘッジファンドやプライベートエクイティなど投資会社になることを意味する(投資信託会社や年金基金、保険会社など機関投資家はジャンク債を避けるものだ)。GMの社債は「回収困難」と呼ばれる水準で取引されている。2年以内に満期を迎える社債は現在、額面の20%の価値しかない。

■ GMには債務保証せず

 多くの投資家がGMの社債を買ったのは、GMが破産法の適用を申請した際には社債が所有権に転換されること、あるいは政府の介入によって正式にGMの企業債務が保証され、社債の価値が上昇することを期待したからだ。

 オバマは30日、今後GMにそうした保証を提供するつもりがないことを明らかにし、その再建努力が十分ではないとしてこう語った。「抜本的な再編の取り組みを実施すれば、GMは必ず立ち直れると確信している。彼らは事業再編をしたのか。それとも、いまだに巨額の債務を抱え込んで将来のための投資ができずにいるのか」(1つ目の問いへの答えはノー、2つ目の問いへの答えはイエス)

 GMの債権者は今後、ディーラーや自動車労働組合などと同じように、GMと取引をすることになるが、予想していたより少ない保証を受け入れるしかない。政府に不良債権を買い取ってもらえた保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の債権者とは大違いだ。

 クライスラーに対するオバマのメッセージはもっと厳しい。クライスラーの株式の80%は投資ファンドのサーベラスが保有しているが、同社はリスクを減らすため、取得したクライスラー株のかなりの部分を他の投資家に売却した。政府に提出された再建計画によると、クライスラーの負債総額は約240億ドルに上る。

 オバマはクライスラーに対して、政府が新たな資本注入をするにしても小規模なものにとどまるだろうと告げ、同社が単独で生き残るのは難しいという見通しを示した。その上で、イタリア自動車大手フィアットと進めている提携交渉をまとめる努力をするよう強く勧めた。フィアットが製品や技術の提供と引き換えにクライスラー株の35%を取得するという、フィアット側に有利な交渉だ。

■公的資金投入への条件

 オバマはサーベラスに30日間の猶予を与え、フィアットとの交渉をまとめるよう求めた。提携交渉がまとまれば(サーベラスが保有するクライスラー株がさらに下落することになるが)「最大60億ドルを追加支援する」。だが、まとまらなければ「これ以上の公的資金の投入は正当化できなくなる」と、オバマは語った。つまりクライスラーが生き残っても、所有者や株主、債権者などあらゆる方面に大きな損失が生じることになる。

 オバマは、サーベラスに大打撃をもたらす「破産法適用」も視野に入れていることを表明した。不良資産買い取り計画を称賛した多くのウォール街の投資家たちだが、どう頑張っても彼らがGMとクライスラーの支援策で得をすることはないだろう。

(C) 2009 Newsweek, Inc. 2009 Hankyu Communications Co., Ltd.


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石田ふたみ [MAIL]

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