2009年04月04日(土) |
アメリカ社会をどう認識するか。 |
資 料 1、 オバマ政権早くも危険信号か 2009年04月02日 浜田和幸 2、浜田和幸氏のプロフィール
米告発金融危機情報の記述は今回で237回目である。 アメリカ社会(ドル社会)をどう認識するか・・・これは実に重要なテーマである。主要20カ国・地域(G20)による金融サミット(緊急首脳会議)の共同声明が、「保護貿易主義の台頭を断固阻止する」との姿勢を打ち出したが、貿易の収縮が止まる気配がない。237回に記述で感じることは、米国発の金融危機が米国の屋台骨を揺るがす事態になっていることである。
4月1日に「米国経営者の強欲の思考」 http://ameblo.jp/syougai3/entry-10234160110.html の書き込みでンチャさんから「オバマ政権に早くも危険信号が・・・ 」 http://moneyzine.jp/article/detail/139936 のリポートの提示があった。
この記述は「金融危機情報」の提示が主体のリポートである。今回のリポートの一部を引用するが、どう受け止めるかは各自の自由なのである。ここでわたしの見解の一部を記述させていただく。
「金融危機と今後の見通しについて、もっともらしい見解を述べるその道の専門家がいる。この言葉を頼りに行動している人もいる。言葉ほど無責任なものはない。その人の自信を持った見解なら、書面でメッセージとして発信すべきである。よって、この金融危機情報では、言葉の見解は一切引用しない方針である。」
浜田和幸氏の「オバマ政権早くも危険信号か」のほんの一部を引用したい。 全編はエンピツに収録。 1、 アメリカの主要企業は2008年第4四半期に20兆円近い赤字に飲み込まれた。主要企業の最終赤字は1936年以降で初めてのこと。2009年第1四半期においても大幅な減益が避けられず、収益力の悪化が深刻な社会不安を引き起こしている。 2、雇用を失うアメリカ人は毎月60万人を超え、企業も家計も赤字状態となってしまった。フードスタンプと呼ばれる食料品購入券を政府から支給される国民は3200万人に達する。 3、実は、赤字転落の憂き目を見ているのはこうした大企業に限らない。2007年11月の時点で、アメリカ政府の抱える累積赤字は54兆ドル(約5300兆円)に達し、米会計検査院は「返済の可能性は限りなくゼロに近い」と財政破綻宣言を行っていた。 4、すでに国家予算の半分が借金の返済(国債の償還)に充てられているアメリカ。これではデフォルトにいつ陥っても不思議ではない。日本、中国、ロシアなどがアメリカのドルや赤字国債を買い支えているお陰で、かろうじて生き延びているというのが超大国の実態である。 5、ここまでアメリカ経済がおかしくなってしまった背景にはアメリカ産業の空洞化という問題が深くかかわっている。アウトソーシングという美名の下、アメリカ企業は物を作るという生産現場を次々と海外に移転させてしまった。その結果、アメリカ国内において、働く場所が消滅してしまうという取り返しのつかない状況に陥ってしまったのである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー オバマ政権早くも危険信号か ロシアが描く「アメリカ分裂」のシナリオ 公開:2009年04月02日 浜田和幸
深刻な危機にあるアメリカ経済を改善するため、オバマ大統領は「グリーン・ニューディール政策」を掲げ、新たな公共事業を通じ最大で500万人規模の雇用を創出するというが、失業者はすでに1500万人に近づこうとしている。社会不安も高まる一方だ。夢のある政策ではあるが、達成は現実にはかなりの困難が予想されている。
オバマ政権に早くも危険信号が・・・ 金融危機と景気の急激な冷え込みにより、アメリカ経済は史上最大のピンチを迎えている。就任100日を待たずして、オバマ大統領にとっては早くも危険信号がともり始めたといっても過言ではない。 世界最大の保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の2008年の最終損失はほぼ10兆円に達し、それ以前の22年間に生み出した最終利益の合計を上回ってしまった。保険会社でありながら、無謀な投機ビジネスに走ったせいで、長年かけて積み重ねてきた利益が一瞬にして帳消しになってしまい、グループ解体へと繋がったわけである。 公的資金の注入を受け入れながら幹部社員には破格のボーナスを支給していたことが判明。AIGの経営陣のみならず、そうした杜撰な資金提供にゴーサインを出したガイトナー財務長官や救済計画を承認したオバマ大統領にまで批判の声が上がっている。
アメリカの主要企業は2008年第4四半期に20兆円近い赤字に飲み込まれた。主要企業の最終赤字は1936年以降で初めてのこと。2009年第1四半期においても大幅な減益が避けられず、収益力の悪化が深刻な社会不安を引き起こしている。 AIGだけではなく、最大の銀行シティーグループをはじめ、アルミのアルコア、航空機メーカーのボーイング、石油のコノコフィリップス、自動車のGM、オフィス用品のオフィス・デポなど、あらゆる業種でリーディング・カンパニーの業績悪化が相次ぐ。その結果、雇用を失うアメリカ人は毎月60万人を超え、企業も家計も赤字状態となってしまった。フードスタンプと呼ばれる食料品購入券を政府から支給される国民は3200万人に達する。
デフォルトもありえる「超大国の実態」 実は、赤字転落の憂き目を見ているのはこうした大企業に限らない。2007年11月の時点で、アメリカ政府の抱える累積赤字は54兆ドル(約5300兆円)に達し、米会計検査院は「返済の可能性は限りなくゼロに近い」と財政破綻宣言を行っていた。 この報告を当時のブッシュ政権は一切無視したものであるが、その後の金融恐慌で事態はさらに悪化を遂げ、自動車のビッグスリーや大手金融機関の救済で財政支出は雪だるま式に増大。2009年1月には累積赤字は65.5兆ドルにまで膨れ上がった。これは約6400兆円という天文学的な数字であり、もはやどんなに逆立ちしても返済は不可能と見られる。 すでに国家予算の半分が借金の返済(国債の償還)に充てられているアメリカ。これではデフォルトにいつ陥っても不思議ではない。日本、中国、ロシアなどがアメリカのドルや赤字国債を買い支えているお陰で、かろうじて生き延びているというのが超大国の実態である。こうした事態を評してロシアのプーチン首相やブレーンたちは「アメリカは崩壊の瀬戸際に立っている。来年まで持たないだろう。おそらく2009年中にアメリカは6つの自治共和国に分裂する。アラスカ州はロシアに復帰することになる」とまで言い始めた。 いくらアメリカが借金まみれとはいえ、ロシアの要人が予測するような国家分裂には到らないと思われる。しかし、それに近い深刻な危機に立ち至っていることは否定のしようながない。ホワイトハウスの国家安全保障会議でも「経済危機が深まれば、国内で暴動が多発し、治安維持のために国軍を投入するような事態もありうる」といった議論がなされているという。 ここまでアメリカ経済がおかしくなってしまった背景にはアメリカ産業の空洞化という問題が深くかかわっている。アウトソーシングという美名の下、アメリカ企業は物を作るという生産現場を次々と海外に移転させてしまった。その結果、アメリカ国内において、働く場所が消滅してしまうという取り返しのつかない状況に陥ってしまったのである。
「一石三鳥」ともいえる解決策 事態を改善するため、オバマ大統領は「グリーン・ニューディール政策」を掲げ、新たな公共事業を通じ最大で500万人規模の雇用を創出するというが、失業者はすでに1500万人に近づこうとしている。
社会不安も高まる一方だ。いくら公的資金を注入し、環境にやさしい産業を創出すると言っても、時間差を考えれば、焼け石に水と言わざるを得ない。しかも、政府が検討している予算は1500億ドルに過ぎない。これはAIG1社を救済する名目でオバマ政権が用意した金額と変わらない。 もともとこの環境重視政策の発端は2008年7月にイギリスのグリーン・ニューディール・グループがまとめた提言にある。いわゆる成長至上主義を前提とする強欲資本主義を改め、経済のみならず自然環境にも配慮した持続可能な経済発展のあり方を模索しようとするものであった。 そのレポートの中心に据えられた時代認識は3つの危機を前提としていた。 第一が当面の金融危機。第二が地球規模の気象変動という未曽有の環境問題。そして第三が価格の乱高下が著しいエネルギー問題。これら3つの危機に対して「一石三鳥」ともいえる解決策を探り出そうとするものであった。言い換えれば、代替エネルギーの開発による新たな市場の創出と雇用の拡大を目指す戦略である。
オバマ政権は、これこそアメリカ経済の復活にとって欠かせない戦略と見なしたようである。ほぼ同じ時期、国際エネルギー機関(IEA)も気象変動やエネルギー危機に対処するのみならず、世界経済を活性化するためにも今後2050年までに温室効果ガスを50%削減するとの目標を掲げ、45兆ドルという空前の投資を伴うグローバル革命を提唱したものである。 イギリスのブラウン首相やフランスのサルコジ大統領もこの提案を積極的に支持した。その影響もあり、2008年10月には、国連において 「グリーン経済イニシアチブ」 と題するレポートがまとめられた。パンギムン国連事務総長もこのレポートに沿う形でオバマ新大統領のグリーン・ニューディール政策に期待する声明を発表。ドイツのシュタインマイヤー外相もオバマ政権の環境重視策を積極的に後押しする姿勢を見せている。まさに「グローバル・グリーン・ディール」と呼ばれるゆえんであろう。 オバマ流「グローバル・グリーン・ディール」はアメリカ再生の切り札となるか このように世界が直面する3つの危機が互いに影響し合いながら深刻度を深める中、その回避策としてビジネスのグリーン化に対する期待が、オバマ大統領という新たな救世主の登場というタイミングに一致する形で高まってきたと言えよう。 とはいえ、オバマ氏の掲げる政策にはまだ透明性や実現性に欠ける点が多々ある。これまでに打ち出された政策の中味を見ると、「2050年までに温室効果ガスを8割削減する。再生可能エネルギーの開発に1500億ドルを投資する。結果的に500万人のグリーン雇用を生み出す」といった具合で、一見すると、IEAや国連の提案より大胆なものに思われる。 確かに、夢のある政策ではあるが、金融危機の影響下でこうしたオバマ流の公約がどこまで達成できるものか怪しい限りである。太陽光、風力発電、バイオ燃料など、代替エネルギーの開発に資金を投入しようとするベンチャーキャピタルはいずれも青息吐息の状況でかつての力強さを失っている。それどころか当初の計画を無期延期したり、企業自体が破綻するようなケースも相次ぐ。こうした状況の下、「大盤振る舞い」とも「社会主義的」とも批判される環境エネルギー政策が成功する可能性は極めて低いと見なさざるを得ない。 スタンフォード大学の土木環境工学科のステファン・シュナイダー教授といえば、国立大気研究センターの研究員として気候変動に関する調査研究で実績を上げ、この分野における国際的権威。同教授いわく 「オバマ政権はブッシュ政権と比べれば、環境政策においてはるかに進んだ発想を持っていることは否定できない。しかし、我々が望んでいるような成果をもたらすかどうか多いに疑問の余地がある。なぜならあまりに多くの障害が目の前に立ちはだかっているからだ」。 肝心の国庫は空っぽ状態 では、具体的な障害として何があるのか。
まず金融危機の影響で企業による資金調達の道が閉ざされてしまったこと。また、連邦議会の議員たちの間でもオバマ大統領のグリーン政策に関しては慎重、あるいは反対の意見の持ち主が数多く控えていること。石炭や石油業界の既得権にしがみつこうとする議員もいれば、SUVのような大型車ばかりを製造し環境対応車の開発を怠ってきた自動車メーカーの救済擁護に血眼になる議員もいるからである。 オバマ大統領が自らの政治生命をかけ実現しようとする環境技術の開発には膨大な予算が必要とされるが、これらの議員たちは自らの関係する業界や企業の救出にのみ関心を寄せている。 アメリカにもGEやファースト・ソーラーなど風力発電や太陽光発電の技術開発に取り組んでいる企業は数多く存在する。とは言え、そうした代替エネルギーを工場や家庭に送り届けるためにはスマートグリッドと呼ばれる次世代電力網の整備が不可欠とされる。そのようなインフラ整備には莫大な資金が必要とされるため個別の環境エネルギー企業で太刀打ちできるものではない。国家レベルの公的資金の注入が欠かせないだろう。 しかし、肝心の国庫は空っぽ状態である。さらなる赤字国債は日本を除けば引き受け手が容易に見つかりそうにない。新大統領はこうした問題の根の深さをどこまで理解しているのだろうか。エネルギー長官に指名されたノーベル物理学賞受賞者であるスティーブン・チュー博士らのアドバイスを得てオバマ大統領もスマートグリッドのインフラ整備に着手することになりそうだ。 オバマ政策に望みを託すヘッジファンド この点に注目し、新たな投資のチャンス到来と虎視眈々と身構えているのがヘッジファンド業界である。今回の金融危機の影響を受け、多くのヘッジファンドは倒産の波に飲み込まれた。とはいえ、生き残ったヘッジファンドは「廃墟からの復活」をスローガンに掲げ、オバマ大統領が進める「グローバル・グリーン・ディール」に望みを託している。この3月から4月にかけては、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロンドンなどで「ヘッジファンドの再編と再生」をテーマにしたセミナーが目白押し。 どのセミナーにも共通しているのが「いかにしてオバマのグリーン・ニューディールから儲けるか」といったアプローチである。具体的には、スマートグリッドの技術で注目を集めるABBや世界最大の風力タービンメーカーであるベスタ・ウィンド・システムズ、ビルのエネルギー管理で実績を誇るジョンソン・コントロールズなど、代替エネルギーやインフラ関連株への期待が高まっている。 とはいえ、実際にこうしたインフラが効力を発揮するには少なくとも5年から10年の時間が必要とされる。そこまでアメリカの労働者や企業の体力が持つのだろうか。大いに懸念されるところである。もし、それができれば、アメリカは大量消費経済のスリム化に成功し、新たな環境重視社会に移行するチャンスを手にするだろう。失敗すれば、ロシアが描く「アメリカ分裂」というシナリオが現実のものになりかねない。どちらに進むにせよ、2009年が正念場であることは間違いない。
2、 浜田和幸のプロフィール http://www.hamadakazuyuki.com/profile/index.html
1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所の代表。
専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。米ワシントン・ロータリー・クラブ米日友好委員長、発明王エジソン生誕150周年祝賀事業実行委員長、日本バイオベンチャー推進協会理事、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員、鳥取県公園都市推進事業委員などを歴任。
主な著書:ベストセラーとなった「ヘッジファンド」(文春新書)をはじめ、「知的未来学入門」(新潮選書)、「快人エジソン」(日本経済新聞社)、「たかられる大国・日本」(祥伝社)、「サイバーテロ」(PHP)、「ブッシュの終わりなき世界戦争」(講談社)、「通貨バトルロワイアル」(集英社)、「チャイナ・コントロール」(祥伝社)、「ウォーター・マネー」(光文社)、「エジソンの言葉」(大和書房)、「イラク戦争:日本の分け前」(光文社)、「悪魔の情報戦争」(ビジネス社)、「黒いホワイトハウス」(祥伝社)、「ハゲタカが嗤った日:リップルウッド=新生銀行の隠された真実」(集英社インターナショナル)など多数。最新刊は、「たかられる大国・日本」(祥伝社・黄金文庫)、「胡錦濤の反日行動計画」(祥伝社)。また、毎週月曜日の午前9時10分から「山陰放送(BSS)」にて「浜田和幸の世界情報探検隊」、午後2時40分から「ニッポン放送・テリー伊藤のってけラジオ」にて「浜田和幸の世界びっくりニュース」をOA。毎週火曜日午前7時からは、「文化放送・蟹瀬誠一ネクスト」のレギュラー・コメンテーターとして最新ニュースの裏側を解説しています。
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