米国発 金融危機関連情報

2009年03月24日(火) 米国の金融機関の不良資産は

1、公的資金、10兆円弱投入へ=最大100兆円の不良資産買い取り
                   2009年3月23日 時事ドットコム
2、米財務省による不良資産買い取りプランの詳細
                   2009年 03月 23日 15:54 JST

 米国の国家財政はいったいどうなるのだろう。3月16日以降だけでも400兆円を超える借金増が明らかになっている。

2009年03月22日(日)  米財政赤字2年間で309兆円
2009年03月19日(木)  FRBの国債・MBS等の買い取り170兆円
 
 今度は金融機関が保有している不良資産の買い通りである。公的資金約1000億ドル(約9兆6000億円)を拠出し、最大1兆ドル(約96兆円)の買い取りを目指すという。金融危機以来銀行への資本注入が行われているが、これから不良資産の根本的な解決を目指すものだ。

 2ヵ月前不良資産の買取り計画が浮かび上がったとき、アナリストから「米国の金融機関が保有している不良資産は400兆円だ」とするリポートが発表されたことがある。その後の不況で、銀行の不良資産が増え続けていることは間違いなく、米国の金融機関の不良資産は、100兆円〜400兆円の間であると見る必要がある。

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1、公的資金、10兆円弱投入へ=最大100兆円の不良資産買い取り
                   2009年3月23日 時事ドットコム
 【ワシントン23日時事】米財務省は23日、金融機関の経営を圧迫している不良化した融資や証券などの資産を買い取る官民合同基金の詳細について発表した。公的資金から750億〜1000億ドル(約7兆2000億〜約9兆6000億円)を拠出し、5000億〜1兆ドル(約48兆〜約96兆円)の買い取りを目指す。
 オバマ大統領は同基金を貸し渋りや信用逼迫(ひっぱく)の解消に向けた金融対策の柱と位置付けており、不良資産の抜本処理を通じて景気の早期回復を目指す。買い取り計画には、連邦預金保険公社(FDIC)や連邦準備制度理事会(FRB)も参加する。(2009/03/23-22:14)

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2、米財務省による不良資産買い取りプランの詳細
2009年 03月 23日 15:54 JST
 [23日 ロイター] オバマ政権は23日、金融機関から不良資産を買い取るための官民共同プログラムに関する詳細を明らかにした。内容は以下の通り。
 <概要>
 米財務省はプログラムに750―1000億ドルを拠出する。資金は昨年10月に議会から承認を得た7000億ドル規模の金融安定化ファンドから拠出される。
 同プログラムには米連邦預金保険公社(FDIC)と連邦準備理事会(FRB)も資金を拠出し、最大で5000億ドルの不良資産買い取りを目指すが、買い取り額は1兆ドルまで引き上げられる可能性がある。
 議会から新たな資金拠出の承認を得ずに買い取り額が1兆ドルに達するかどうかは、プログラムに対する投資家の参加意欲にかかっている。プログラムは既存の法的枠組みの中で処理できるため、オバマ政権はプログラムに着手する上で議会の承認を得る必要はない。
 政府は民間投資家の参加を促すことによって、買い取り資産のベンチマークとなる価格を設定するための市場メカニズムを機能させたいと考えている。プログラムに参加する投資家に対して、幹部報酬の制限が適用されることはないもよう。
 <「レガシー」ローン・プログラム>
 財務省は銀行から不良債権化した「レガシー」ローンを買い取るため、納税者の資金と民間資本を組み合わせた数多くの官民投資ファンドを創設する計画。
 それらの投資ファンドは、FDICの保証付き債券の発行を通じ、「レガシー」ローンを買い取ることが可能になる。FDICが提供する資金のレバレッジ比率は資本の最大6倍となる。
 そのため、投資家と財務省がそれぞれファンドに対して10億ドルの資本を提供すれば、140億ドルのローンを買い取るため、FDICによるファイナンスで最大120億ドルを調達できる。
 銀行は売却したいローンのプールをFDICに持ち込む。FDICは資金を提供し、財務省は民間投資家と協力してローンの入札を行う。資産の買い取り価格は入札と約束されたレバレッジで決定される。財務省はエクイティ資本の50―80%を提供する。
 オバマ政権当局者は、プログラムのこの部分は資産買い取りプログラムにおける最も大きな要素になると説明している。
 <「レガシー」証券プログラム>
 官民共同で設立する不良資産買い取りファンドも、政府が増額する可能性のある官民資金を用いて、いわゆる「レガシー」証券を買い取ることができる。
 「レガシー」証券買い取りに向け、2つのアプローチが考えられる。
 1つ目のアプローチは、米連邦準備理事会(FRB)が、ターム物資産担保証券貸出制度(TALF)を拡充することにより、買い取りの財源を確保する。具体的には、現在2000億ドルのTALFの枠を最大1兆ドルまで拡充する。また、過去に「トリプルA」の格付けを得ていた、発行されてから時間が経っている住宅モーゲージ担保証券(MBS)、および「トリプルA」格付けの商業モーゲージ担保証券(MBS)と資産担保証券(ABS)も担保として受け入れる。
 こうした証券はリスクが高いため、他のTALF資産と比べて高いヘアカット(担保価値の引き下げ)比率が適用される。
 現在TALFの下では、「トリプルA」格付け証券でも、新規に発行されたものか、発行されて間もない証券のみを融資の担保として差し入れることができる。また証券の種類も、自動車ローン、クレジットカードローン、学生ローンなどを裏付けとした証券のみに限定されている。
 2つ目のアプローチは、最大5社の投資マネジャーに買い取りファンドへの資金供給を許可し、政府も同額の資金を供給。官民共同で投資を実施し、利益も損失も同等に分配する。
 その後、財務省に対し買い取りファンドの資金の50%に相当するシニア債の発行を要請できる。それにより、民間資金1ドルに対し、公的資金2ドルのレバレッジを確保する。
 財務省は、競争原理を持ち込むことにより、官民によるパートナシップが政府支出の膨張を抑え、現在はほとんど取引されていない「レガシー」証券の価格形成に貢献することに期待している。


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石田ふたみ [MAIL]

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