米国発 金融危機関連情報

2009年03月20日(金) 米下院、ボーナス90%課税法案を可決



報道
1、米下院、ボーナス課税法案を可決 AIG問題で
                 2009年3月20日  日経
2、米下院がAIG賞与への課税法案可決、税率90%
                 2009年 03月 20日 08:00 JST
3、「ボーナス返せ」国民的圧力 AIG、それでも厚い法の壁
                 2009/3/20 MSN産経ニュース
 
上記のニュース米国の正義の象徴になるか、泥沼の訴訟戦争になるのか・・
先のことは分からない。ただ、激しい世論を背景とした法律の成立の早さは見習うべきことだ。

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1、米下院、ボーナス課税法案を可決 AIG問題で
                 2009年3月20日  日経
 【ワシントン=米山雄介】米下院は19日の本会議で、公的資金で救済された企業幹部の賞与(ボーナス)に対し、税率90%で特別付加税をかける法案を賛成多数で可決した。政府の管理下で経営再建中の米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の幹部らが受け取った総額1億6500万ドル(約160億円)の賞与を事実上返還させる狙いがある。
 上院も同様の法案を準備しており、来週にかけて審議が本格化する見通し。上下両院で法案を一本化し、大統領が署名すればいったん支給された賞与を国が強制的に召し上げる異例の措置となる。 (08:12)

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2、米下院がAIG賞与への課税法案可決、税率90%
2009年 03月 20日 08:00 JST

 [ワシントン 19日 ロイター] 米下院は19日、保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の幹部に支払われた1億6500万ドルの賞与の大半を取り戻すことを可能にする法案を異例のスピードで可決した。
 賛成票328に対し、反対票は93だった。
 法案は、政府から援助を受けている企業の幹部に支給された賞与に90%の税金を課す内容。50億ドル以上の資金援助を受けている企業で25万ドルを越える報酬を得ている幹部が対象となる。
 AIGだけでなく、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)などにも適用される。

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3、「ボーナス返せ」国民的圧力 AIG、それでも厚い法の壁
2009/3/20 MSN産経ニュース

 法律にはたくさんの技術的な抜け道があるが、契約法の本質はいたってシンプルだ。雇用者は被雇用者との間で、報酬を支払う代わりに一定の仕事をしてもらうことで合意するのだ。

 例えば、あなたの会社がわたしに、うちで働けば300万ドル(約2億8776万円)のボーナスを払うと約束したとしよう。わたしは能力を買ってくれる他社の誘いは断る。それでわたしは誰にも理解できないことをして、会社に何千万ドルもの収入をもたらすことができた。

 ところが、わたしの仕事の考え方に致命的な不備があって、ボーナスを手にするころは会社に打撃を与える事態に陥った。会社はいい迷惑だが、わたしにとって契約は契約だ。さらに、会社はわたしにしか理解できない仕事を解除する必要に迫られた場合、嫌でもわたしにその処理を任せるしかない。会社のトップが代わろうが、会社はボーナスを払わなければならない。

 これが、米政府の公的管理下にある保険大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の実態だ。AIGは金融商品部門で損失を出した人材にボーナスを支給することで合意している。これが米国民の怒りに火を付けてしまった。

 ◆訴訟は政府に実害

 米政府はボーナス支給に回るカネを取り返せという大合唱が起きている。当然だろう。ウォール街の連中が嫌がるなら、罰金を科せ、訴えを起こせと言う。確かに胸のすく思いはするが、同時に無責任でもある。

 仮に雇用契約が一分のすきもない内容だとしたら、契約破棄は逆に訴訟を起こされ、米政府が敗訴するのは必至。これでもいい考えだといえるだろうか。

 訴訟になれば、政府は税金をつぎ込んで底なし沼の訴訟費用を払い続け、揚げ句の果てにボーナス支給を認めなければならなくなる。政府は実害を被るうえ、今後政府が契約という言葉を使っても信用されなくなる。

 あなたが望んでいることをわたしに実行させ、わたしは対価を得られると確信できるようにするのが契約の目的だ。

 検事が黒幕の情報を得るために麻薬の売人と司法取引した場合、得られた情報が後で無益だと分かったとしても、取引が成立することに変わりはない。

 これと同様に、ある銀行と数百万ドルのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)契約を結んだ保険会社にとり、債務保証先企業の担保が回収不能なサブプライムローンであるがゆえに過大評価されていたと後で分かったとしても、契約に基づき銀行への支払い義務は残る。

 ニューヨーク州のクオモ司法長官は「契約破棄できないことにはならない」と述べ、契約破棄正当化の法的理論が存在する可能性を述べたが、不正を働いた者を特定する必要がある。

 クオモ長官は、ボーナスを得ていたAIG金融商品部門の従業員の名前や業務内容、業績を調べ、彼らの役割を突き止めようとしている。頑張って氏名や所業を明らかにしてほしい。

 ◆自発的に返上も

 一方、従業員がボーナスの少なくとも一部を返上する機会もある。実際、AIG幹部の一部は既に行っている。AIG関係者への圧力は今、相当大きい。

 報酬調査会社エクイラーのアレクサンダー・ゴディッキ氏は「契約自体は変更できないかもしれないが、幹部たちは自発的にボーナスを返上せざるを得なくなるかもしれない」と指摘する。国民の怒りが増し、クオモ司法長官の追及の手が厳しくなればなるほど、そうなる可能性は高くなるだろう。(Ann Woolner)


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石田ふたみ [MAIL]

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