米国発 金融危機関連情報

2009年03月10日(火) 英国5850億ポンド(約81兆円)の損失保証リスク。


報 道

1、英銀ロイズが実質国有化 不良資産36兆円に政府保証
                       2009年3月8日  日経
2、英ロイズ:政府管理下に 不良資産36兆円、損失9割保証
                     毎日新聞 2009年3月8日 
3、英国の落日、瓦解した”金融帝国”の夢 (3) –
                    09/02/23 | 17:20 東洋経済


 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)と大手銀ロイズ・バンキングが実質破綻して国営銀行となった。今回の金融危機で英国は両行の株式70%以上を保有することになった。

 英企業として史上最大の赤字を出したロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)と、英大手銀ロイズ・バンキング・グループで5850億ポンド(約81兆円)の損失保証リスクを負うという。これではポンドは対ユーロ・ドル・円から独歩安になっている。

 資料3の通り「英国の落日、瓦解した”金融帝国”の夢」という東洋経済のリポートがある。 米著名投資家のジム・ロジャース氏の言葉を引用しよう。
「英国は金融がめちゃくちゃになった。北海油田も今後枯渇していく。英国には売りものがなく、投資できない」と。そもそもイギリスを『金融帝国』と呼ぶことがあったが、GDPに占める金融のウエートが高かったので、今回の金融危機で国の屋台骨がグラつくことになった。

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1、英銀ロイズが実質国有化 不良資産36兆円に政府保証
                       2009年3月8日  日経
 【ロンドン=吉田ありさ】英大手銀ロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来発生する損失の大半を英政府が肩代わりする資産保証制度の適用を申請すると発表した。また配当負担を軽減するため昨年に政府が引き受けた優先株を普通株に転換することでも合意。英政府の株式保有比率は現在の43%から最大77%まで高まり、実質国有化となる。
 政府の保証で損失拡大リスクを減らし「景気が一段と悪化しても乗り越えられるようにする」(ダニエル最高経営責任者)のが狙い。英政府の保証制度の適用はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に続き2番目。
毎日新聞 2009年3月8日 
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2、英ロイズ:政府管理下に 不良資産36兆円、損失9割保証
                     毎日新聞 2009年3月8日 
【ロンドン藤好陽太郎】英金融大手のロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来の損失の9割を英政府に肩代わりしてもらう「損失保証制度」の適用を申請した。英政府は合意し、保有する優先株の一部を普通株に転換し、持ち株比率を現在の43%から65%に引き上げる。ロイズは事実上、政府の管理下に置かれることになる。
 ロイズは損失保証の手数料として156億ポンドを政府に支払う。そのため新たに議決権のない株式を156億ポンド発行、それを政府が引き受ける。損失保証制度は、信用収縮に歯止めをかけ、貸し出しを正常化するのが狙い。ロイズは2年間に280億ポンドの新規融資を実施すると約束した。
 英企業として史上最大の赤字を出したロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)も、総額3250億ポンドの不良資産に対する損失保証を英政府に申請。英政府は、両グループ合計で5850億ポンド(約81兆円)の損失保証リスクを負う。
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3英国の落日、瓦解した”金融帝国”の夢 (3) –
09/02/23 | 17:20 東洋経済
バッドバンクの設立は財政重荷で計画倒れに

英銀ロイズが実質国有化 不良資産36兆円に政府保証
                       2009年3月8日  日経
 【ロンドン=吉田ありさ】英大手銀ロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来発生する損失の大半を英政府が肩代わりする資産保証制度の適用を申請すると発表した。また配当負担を軽減するため昨年に政府が引き受けた優先株を普通株に転換することでも合意。英政府の株式保有比率は現在の43%から最大77%まで高まり、実質国有化となる。
 政府の保証で損失拡大リスクを減らし「景気が一段と悪化しても乗り越えられるようにする」(ダニエル最高経営責任者)のが狙い。英政府の保証制度の適用はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に続き2番目。

英ロイズ:政府管理下に 不良資産36兆円、損失9割保証
 【ロンドン藤好陽太郎】英金融大手のロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来の損失の9割を英政府に肩代わりしてもらう「損失保証制度」の適用を申請した。英政府は合意し、保有する優先株の一部を普通株に転換し、持ち株比率を現在の43%から65%に引き上げる。ロイズは事実上、政府の管理下に置かれることになる。
 ロイズは損失保証の手数料として156億ポンドを政府に支払う。そのため新たに議決権のない株式を156億ポンド発行、それを政府が引き受ける。損失保証制度は、信用収縮に歯止めをかけ、貸し出しを正常化するのが狙い。ロイズは2年間に280億ポンドの新規融資を実施すると約束した。
 英企業として史上最大の赤字を出したロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)も、総額3250億ポンドの不良資産に対する損失保証を英政府に申請。英政府は、両グループ合計で5850億ポンド(約81兆円)の損失保証リスクを負う。
毎日新聞 2009年3月8日 東京朝刊
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3、英国の落日、瓦解した”金融帝国”の夢 (3) –
                09/02/23 | 17:20 東洋経済
バッドバンク(不良資産買い取り専門機関)の設立は財政重荷で計画倒れに

 BOE(英中央銀行のイングランド銀行)は1月19日、第2弾の金融安定化策を公表した。(1)金融機関が特定の保有資産に一定の保証料を払う代わりに、損失が膨らめば英財務省がその9割を保証するスキーム(APS)、(2)BOEが社債やCP、シンジケートローン、一部の資産担保証券(ABS)などの優良資産を約500億ポンド分買い取る制度(APF)、(3)ABSへの保証――。

 今回は昨年10月の第1弾の対策(約370億ポンドの公的資金注入策)には盛り込まれなかった、不良債権問題への対策が含まれた点は意義深いが、実効性には市場から疑問の声が出ている。特に期待される(1)のAPSも、保証料がいくらになるかが不明。当初の不良資産買い取り専門機関「バッドバンク」の設立構想は、米国同様、財政負担が莫大になるため計画倒れに終わったからだ。

 金融危機は実体経済の悪化にも及んでいる。市場の信用収縮による金融機関の貸し渋りが企業の投資意欲と雇用を減退させ、失業率上昇や消費を冷え込ます。有効需要が落ち込めば企業倒産も増え、信用収縮がさらに加速する。英国経済は負のスパイラルに陥っており、景気刺激策としては減税と公的資金を活用した一段の財政出動が不可欠。昨年12月には付加価値税(消費税)を17・5%から15%に時限的に引き下げた。

 一連の施策の財源は英国債の増発で賄われる。JPモルガン・チェース銀行の試算によれば、09年の英国債発行額は1460億ポンドと前年比2・5倍に達する。英国の財政赤字の対GDP比は09年には8・8%と同2倍弱(08年は4・6%)に膨らむ見通しだ。世界的な国債増発ブームの中で、英国債の消化が進むとは考えにくい。

 むしろ、英国債全体の3分の1を保有する外国人投資家が、長期金利上昇(額面価値下落)が続く中で、売却を膨らます可能性も高い。

 最大の懸案はAAA格にある英国のソブリン格付けの引き下げだ。マーヴィン・キングBOE総裁は国債消化不安から非伝統的手段としての国債購入に言及しており、発行量だけではなく規律という質の面でも財政悪化が加速されそうだ。

 市場関係者の間では英国債の格下げは世界金融にあまりにも影響が大きいため、想定しにくいとの見方もあるが、英国の「最後の砦」だった金融セクター(GDPの3割)が沈んだ今、格下げの可能性は非現実的ではない。さらなる財政悪化と金利低下局面でポンド下落が進めば、女王陛下の描かれたポンド紙幣を手放し、16カ国が加盟するユーロに、仲間入りをする選択肢さえも考えられる。現下のポンドは対ユーロ・ドル・円から見ても、独歩安に近い売られ方だ。

 米著名投資家のジム・ロジャース氏が1月、「英国は金融がめちゃくちゃになった。北海油田も今後枯渇していく。英国には売りものがなく、投資できない」と、英国売りを表明した。1992年にポンド危機を引き起こしたのは、彼の同僚だったジョージ・ソロス氏だっただけに、ポンド売りを誘った。

 唯一明るい材料といえば3年後のロンドン五輪。ただ、経済効果は210億ポンド(ロイズTSB試算)と、RBSの最終損失額にも満たない。70年代に経験した忌まわしき「英国病」再来の靴音が近づいている。
(鈴木雅幸、武政秀明 撮影:尾形文繁、今井康一 =週刊東洋経済)


は1月19日、第2弾の金融安定化策を公表した。(1)金融機関が特定の保有資産に一定の保証料を払う代わりに、損失が膨らめば英財務省がその9割を保証するスキーム(APS)、(2)BOEが社債やCP、シンジケートローン、一部の資産担保証券(ABS)などの優良資産を約500億ポンド分買い取る制度(APF)、(3)ABSへの保証――。

 今回は昨年10月の第1弾の対策(約370億ポンドの公的資金注入策)には盛り込まれなかった、不良債権問題への対策が含まれた点は意義深いが、実効性には市場から疑問の声が出ている。特に期待される(1)のAPSも、保証料がいくらになるかが不明。当初の不良資産買い取り専門機関「バッドバンク」の設立構想は、米国同様、財政負担が莫大になるため計画倒れに終わったからだ。

 金融危機は実体経済の悪化にも及んでいる。市場の信用収縮による金融機関の貸し渋りが企業の投資意欲と雇用を減退させ、失業率上昇や消費を冷え込ます。有効需要が落ち込めば企業倒産も増え、信用収縮がさらに加速する。英国経済は負のスパイラルに陥っており、景気刺激策としては減税と公的資金を活用した一段の財政出動が不可欠。昨年12月には付加価値税(消費税)を17・5%から15%に時限的に引き下げた。

 一連の施策の財源は英国債の増発で賄われる。JPモルガン・チェース銀行の試算によれば、09年の英国債発行額は1460億ポンドと前年比2・5倍に達する。英国の財政赤字の対GDP比は09年には8・8%と同2倍弱(08年は4・6%)に膨らむ見通しだ。世界的な国債増発ブームの中で、英国債の消化が進むとは考えにくい。

 むしろ、英国債全体の3分の1を保有する外国人投資家が、長期金利上昇(額面価値下落)が続く中で、売却を膨らます可能性も高い。

 最大の懸案はAAA格にある英国のソブリン格付けの引き下げだ。マーヴィン・キングBOE総裁は国債消化不安から非伝統的手段としての国債購入に言及しており、発行量だけではなく規律という質の面でも財政悪化が加速されそうだ。

 市場関係者の間では英国債の格下げは世界金融にあまりにも影響が大きいため、想定しにくいとの見方もあるが、英国の「最後の砦」だった金融セクター(GDPの3割)が沈んだ今、格下げの可能性は非現実的ではない。さらなる財政悪化と金利低下局面でポンド下落が進めば、女王陛下の描かれたポンド紙幣を手放し、16カ国が加盟するユーロに、仲間入りをする選択肢さえも考えられる。現下のポンドは対ユーロ・ドル・円から見ても、独歩安に近い売られ方だ。

 米著名投資家のジム・ロジャース氏が1月、「英国は金融がめちゃくちゃになった。北海油田も今後枯渇していく。英国には売りものがなく、投資できない」と、英国売りを表明した。1992年にポンド危機を引き起こしたのは、彼の同僚だったジョージ・ソロス氏だっただけに、ポンド売りを誘った。

 唯一明るい材料といえば3年後のロンドン五輪。ただ、経済効果は210億ポンド(ロイズTSB試算)と、RBSの最終損失額にも満たない。70年代に経験した忌まわしき「英国病」再来の靴音が近づいている。

(鈴木雅幸、武政秀明 撮影:尾形文繁、今井康一 =週刊東洋経済)




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