2009年03月09日(月) |
米国の自由主義経済破綻の危機 |
報道
1、米雇用統計:就業者数、3カ月で200万人減 失業率2ケタ、現実味 毎日新聞 2009年3月7日 2、米失業率8.1% 25年ぶり水準 雇用は65万人減 2009年3月6日23時20分 朝日
報道1の通り9月のリーマン・ショック以降の就業者数の減少は計328万5000人に達している。2月の失業率も8.1%に達し、雇用環境が好転の兆しは全くない。
オバマ米大統領は「今後2年間で350万人の雇用を創出する」との方針を掲げ、大型の景気対策法案を成立させた。しかし、この程度の政治的な手段で失われた雇用が回復することはないと思う。9月までに失業率は2ケタに乗るだろう」(IHSグローバル・インサイトのナイジェル・ゴールト氏)との指摘がいよいよ現実味を帯び始めてきた。過去の歴史になかった空前の失業率になると思う。
米国は農産物他のなどの得意分野は、相手国に市場開放を強引に求めて輸出市場を形成した。反面、自国で作るより、安い製品は自由経済の名の下に消費物資の輸入が限りなく拡大されてきた。その結果、各家庭で消費する物資の90%近くが輸入になったのである。すなわち、物を作る工場が少ないので働く場がないのである。失業率の上昇は米国の自由主義経済の破綻の危機が背景にあるのだ。
報道2で米国社会の厳しい現実を確認したい。 「人件費カットで正社員を減らす企業が多く、パート職にしか就けなかった人たちも前年同月より8割近く多い862万人に急増。こうした「不完全雇用」に失業者を加えた人口の比率は最高水準の約15%に上昇しており、不況を深刻化させている。消費不振だけでなく、住宅ローンの焦げ付きによる不良債権急増にも拍車をかけている。」 (朝日から)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1、米雇用統計:就業者数、3カ月で200万人減 失業率2ケタ、現実味 毎日新聞 2009年3月7日 【ワシントン斉藤信宏】米労働省が6日発表した2月の雇用統計は、景気を敏感に反映する非農業部門の就業者数が3カ月連続で65万人超も減少するという雇用情勢の厳しさを浮かび上がらせた。3カ月間の失職者数は計200万人規模に膨らんでおり、第二次世界大戦後では最悪の水準。9月のリーマン・ショック以降の就業者数の減少は計328万5000人に、2月の失業率も8・1%に達しており、雇用環境は冷え込むばかりだ。 2月の就業者数を業種別に見ると、製造業が16万8000人の大幅な減少となったほか、サービス業も37万5000人減と底割れに近い大幅減少となるなど、ほぼすべての業種で落ち込んだ。サービス業のうち小売業は、年末商戦以降の低調さを反映して4万人減に、住宅市況低迷の長期化による影響を受けている建設は10万4000人減になった。 米転職情報会社「チャレンジャー・グレー・アンド・クリスマス」によると、米企業が2月に発表した人員削減数は、前年同月比158%増の18万6350人。そのうち、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の4万7000人削減など、自動車業界のリストラ計画が約3分の1を占めている。米政府によるGM、クライスラーへの追加支援策の議論次第では、人員削減の規模がさらに拡大する可能性もある。 オバマ米大統領は「今後2年間で350万人の雇用を創出する」との方針を掲げ、大型の景気対策法案を成立させた。だが、雇用創出につながると期待される公共投資の具体像は一向に見えてこない。米国内では「景気刺激には程遠い内容で、効果は期待できない」(米エコノミスト)との失望感も広がっている。「労働市場は歯止めのきかない落下が続いている。9月までに失業率は2ケタに乗るだろう」(IHSグローバル・インサイトのナイジェル・ゴールト氏)との指摘がいよいよ現実味を帯び始めた。 【関連記事】 非正規労働者:雇用・自立支援で連合などカンパ 民主:「200万人雇用創出」プラン策定へ 分野ごと目標 経産省:雇用ミスマッチ解消へガイドブック 吹田市:受験者殺到、470倍…職員採用試験 大阪 農林水産業:低収入がネック 採用441人にとどまる 毎日新聞 2009年3月7日 東京朝刊
2、米失業率8.1% 25年ぶり水準 雇用は65万人減 2009年3月6日23時20分 朝日 【ワシントン=西崎香】米労働省が6日発表した2月の雇用統計は大幅に悪化し、失業率は前月比0.5ポイント高い8.1%に悪化、約25年ぶりの高水準となった。非農業部門の就業者数も同65万1千人減り、過去2カ月間の減少数も大幅に下方修正された。65万人を超える落ち込みは、1949年10月(83万4千人減)以来、約60年ぶり。 雇用の減少は昨年1月から14カ月連続で、この間の累計は約438万人。14カ月間の落ち込みとしては統計を取り始めた1939年以来で最大。昨年12月と今年1月の雇用減少数もそれぞれ68万1千人と65万5千人に下方修正された。 失業者は48年以来最多の約1250万人にのぼる。金融危機が深刻化した昨年11月から毎月50万人を超す雇用減が続いており、今年は前半の半年間だけで新たに300万人が失業するとの見方が有力だ。失業率も1年前の4.8%から急激に上昇中。いずれ10%を突破し、82年11、12月に記録した戦後最悪水準の10.8%に迫るとの予想が出始めた。 雇用の落ち込みは製造、建設や交通、金融、小売りなど、ほぼ総崩れ状態だ。エコノミストのイアン・シェパードソン氏は「雇用削減は企業の大きさを問わずあらゆる業種に広がっている。底打ちの兆しはなく、悪夢は当分続く」。雇用あっせん会社のチャレンジャー・グレイ・クリスマスによると、主な企業だけでも2月の人員削減は約18万6千人で、求人は約1万5千人と遠く及ばない。 人件費カットで正社員を減らす企業が多く、パート職にしか就けなかった人たちも前年同月より8割近く多い862万人に急増。こうした「不完全雇用」に失業者を加えた人口の比率は最高水準の約15%に上昇しており、不況を深刻化させている。消費不振だけでなく、住宅ローンの焦げ付きによる不良債権急増にも拍車をかけている。 米景気は昨年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)の成長率が6.2%減と約27年ぶりの落ち込み幅を記録したが、1〜3月期も約7%減との予想が浮上。景気回復は来年初めにずれ込むとの見方が目立っている。
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