米国発 金融危機関連情報

2009年03月11日(水) 中国「金融津波」を受けても8%成長路線


 報道
1、クローズアップ2009:中国全人代開幕 「金融津波」で狂う成長策
 毎日新聞 2009年3月6日 
2、中国・全人代開幕…減税効果は7兆円規模、8%成長目指す
                    2009年3月5日 読売

 中国をどのような視点で見るかによって、全く異なる見解の羅列になる。
ここでは日本の経済にとって・・・という視点で記述したい。米国発に金融危機で最も打撃を受けたのは、世界の工場といわれる中国でないかと思う。低賃金を武器の、付加価値の少ないあらゆる生活物資を生産し輸出して来たのだ。

 2年前ほどのテレビの放映を今でも記憶に残っている。ロスアンゼルスに主婦が中国製品を使わない生活をしようと努力したが1年で諦めてしまうのである。中国からあらゆる生活物資が輸入されていたのだ。

 金融危機で中国が影響を受けた第1号はおもちゃ産業であった。米国からの注文が途絶えおもちゃの町が、ゴーストタウンになったのである。報道1の通り「職を失った農民工(出稼ぎ農民)は全国で2000万人以上に達した」という凄まじさなのである。

 中国は報道1に通り「8%成長を維持するため総額4兆元(約58兆円)の財政出動で内需拡大を図る方針を昨年11月に早々と決めた」人口13億の途上国で社会の安定を維持するには一定の成長を維持しなければならないという命題があるのだ。金融津波を受けながら8%成長を掲げるので、日本からの輸出の落ち込みは少ないと思う。

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1、クローズアップ2009:中国全人代開幕 「金融津波」で狂う成長策
 毎日新聞 2009年3月6日 東京朝刊
「我が国の経済発展にとっても、最も困難な1年になる」。5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で、温家宝首相が行った政府活動報告は、強い危機感にあふれていた。世界的な経済・金融危機は今、欧米から周回遅れで中国を襲い、貿易面で依存しあう日本や欧米にも悪影響を及ぼしかねない。活動報告からは、現在の中国が抱える懸案が浮かび上がる。【北京・鈴木玲子、浦松丈二】

 ◇不満訴える陳情者拘束
 「08年は極めて尋常ならざる年だった。我が国の経済・社会の発展は史上まれにみる試練に耐えてきた」。温首相の報告は、昨年を厳しい表現を用いて回顧することから始まった。
 9万人近い死者・行方不明者が出た四川大地震、チベット暴動や北京五輪を経て、ひと息ついた中国を世界的な経済・金融危機が襲った。温首相の言葉は重く響いた。
 「金融津波」。中国メディアは金融危機をそう呼ぶ。昨年は6年ぶりに1ケタ成長に転落した中国。今年1月の輸出は前年同月比17・5%減、輸入が同43・1%減。輸出入とも3カ月連続の減少となり、まさに「天災」(中国紙報道)だった。胡錦濤指導部は建国60周年の今年を、来年の上海万博に向けた飛躍の1年に位置付けるはずだったが、構想はもろくも崩れた。
 今年の国内総生産(GDP)成長目標「8%」は昨年と同じだが、環境は大きく異なる。政府内から「景気の先行きが不透明な時に数値を報告に盛り込むべきではない」との反対意見が出たという。
 だが、8%成長を維持するため総額4兆元(約58兆円)の財政出動で内需拡大を図る方針を昨年11月に早々と決めた。「人口13億の途上国で社会の安定を維持するには一定の成長スピードを維持しなければならない」(報告から)。その構図は、ペダルをこぐのをやめたら倒れてしまう自転車に似る。
 「公共投資拡大の機会を悪用して部門や個人の私利を図ったりするのは許されない」(同)。利権に群がる役人の汚職や無駄な浪費はやまない。温首相もそれにクギを刺した。全人代の会期を昨年より5日短い9日間としたのも、無駄遣いを抑えるよう胡指導部自ら範を示す狙いがあるとみられる。
 だが格差社会の底辺で生きる人たちの怒りは尽きない。
 全人代が開かれる人民大会堂前では5日、地方政府の不満を外国メディアなどに訴えようとした地方の陳情者数人が拘束された。「中国人権民主化運動情報センター」(香港)によると、重慶市で4日、三峡ダム建設による移住者2000人以上が、移住者への補助金を公務員が着服したと訴え警察官ら約1000人と衝突し、多数の負傷者が出たという。
 今年は、民主化を求める学生らが武力鎮圧された天安門事件から20年、ダライ・ラマ14世のインド亡命に至ったチベット動乱から50年の「敏感な年」でもある。「多くの人が集結する事件(大衆暴動)を積極的に予防し、適切に処理する」(報告から)。その首相の言葉を裏付けるように、北京には五輪時に次ぐ60万人の治安要員が配備され、重苦しい雰囲気が漂った。
 ◇輸出急減、厳しい雇用
 「2月の求人は前年同期比3割減。3カ月後の卒業時期は就職難がひどくなりそうだ」。香港と広州の中間に位置する広東省東莞市。同市最大の就職情報業者、長安匯安人力資源サービスセンターの蔡偉軍さんは厳しい見通しを示した。
 製造業が密集する東莞は、日本からの投資もあって中国経済のけん引役を果たしてきた。だが現在は、輸出不振で倒産が相次ぐ。昨年11月、中小企業が「厳冬」を乗り切るために労働契約法の運用を緩和して最低賃金を低く抑えるよう、江凌副市長が自ら、省政府、中央政府に異例の訴えを行った。関係者によると、政府側は法解釈の見直しに着手したという。
 政府活動報告によると中央政府は今年、雇用促進対策に420億元(約6000億円)を計上。だが職を失った農民工(出稼ぎ農民)は1月の春節(旧正月)前、全国で2000万人以上に達した。
 6月には約600万人が大学を卒業する。中央政府は地方に、農民工のリストラ回避、大卒者の雇用創出の号令をかけている。やはり厳しい雇用情勢の東北部・遼寧省の陳政高省長は5日、「必ず(雇用対策を)やり遂げなければならない」と厳しい表情となった。
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 ■09年の中国は?
 3月10日 チベット動乱50年
   14日 ラサでの暴動から1年
 5月 1日 上海万博開幕まで1年
    4日 五四運動90年
 6月 4日 天安門事件20年
10月 1日 建国60周年
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2、中国・全人代開幕…減税効果は7兆円規模、8%成長目指す
                 2009年3月5日14時02分 読売
【北京=佐伯聡士】中国の第11期全国人民代表大会(全人代=国会)第2回会議が5日午前、北京の人民大会堂で開幕した。
 温家宝首相が政府活動報告を行い、世界的金融危機の影響で景気が減速する中、積極財政と大規模減税などで内需拡大を図り、今年も前年同様に「8%程度」の経済成長の実現を目指す方針を表明した。
 雇用維持に欠かせない最低ラインとされる8%の死守で、10月の建国60周年に向け、経済・社会の安定確保に全力を挙げる姿勢が鮮明になった。
 温首相は報告で、今年が「新世紀に入ってから、我が国の経済発展にとって最も困難な1年になる」との危機感を示し、金融危機の悪影響を最低限に抑え、景気減速に歯止めをかける決意を強調した。その上で、温首相は、昨秋発表した2010年までに4兆元(約58兆円)を投入する景気刺激策を改めて宣言し、地方債2000億元(約2兆9000億円)を発行する考えも表明した。この結果、中央・地方を合わせた財政赤字は計9500億元(約13兆7750億円)となる。
 特に、高成長を下支えしてきた全国1億3000万人の民工(出稼ぎ労働者)のうち、約2000万人が輸出産業の低迷で失業、漂流している深刻な事態を受けて、農民収入の向上など農村支援のため、前年比1206億元(1兆7490億円)増の7161億元(約10兆3830億円)を投入することを表明した。
 温首相はまた、これまでに打ち出した減税策の効果が、5000億元(約7兆2500億円)規模に上る見通しを明らかにした。
 昨年末で4・2%に上昇した都市部の失業率については、4・6%以下に抑える目標を掲げた。
 全人代の会期は13日までの9日間。




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石田ふたみ [MAIL]

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