米国発 金融危機関連情報

2009年02月27日(金) オバマ米大統領の支持率急落


報道
1、オバマ米大統領:議会演説 「福祉重視」鮮明に
                 毎日新聞 2009年2月26日 東京朝刊
2、米国:オバマ大統領支持率、60%割れ 経済状況反映か
                 毎日新聞 2009年2月25日 19時39分
3、オバマ大統領:議会演説…厳しい現実、理想と落差大きく 
                 毎日新聞 2009年2月25日 15時13分
4、社説:オバマ演説 言葉に続く行動に期待する
                 毎日新聞 2009年2月26日 0時10分


 オバマ米大統領の演説には「国民の理解を求め説得に努める指導者の姿」(報道4から)がある。そして「自信と希望を共有しよう」という励ます言葉がある。更に「絶望的な状況下にあっても、米国民は乗り越える力を持っていると強調」している。「私たちは立て直し、回復し、より強いアメリカ合衆国となってよみがえるのです」と。

 しかし、理想と現実の落差は大きい。その第1がオバマ大統領の支持率が報道2の通り59%と急落している。不支持率も就任直後の13%から25%に上昇。大統領の経済政策に反対する共和党支持層が離反しているのである。

 目前には450億ドル(4兆5000億円)の資本注入を受けた金融大手シティグループとバンク・オブ・アメリカは、不良資産の処理が進まず経営危機が再燃している。また、経営危機に瀕(ひん)して政府支援でかろうじて存続している米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの判断は難しい問題だ。

 オバマ大統領は「自動車産業を一新して競争できる、勝てる産業にすることは大切だ。数百万人の雇用と数多くの地域社会がこの産業に依存しているからだ」としているが政府主導で民間会社が蘇生し例を知らない。GMとクライスラーの追加支援には米世論の風当たりが強く、大統領の支持率急落の原因になると思う。

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1、オバマ米大統領:議会演説 「福祉重視」鮮明に
毎日新聞 2009年2月26日 東京朝刊

 ◇共和党、強く反発
 【ワシントン及川正也、大治朋子】オバマ米大統領の24日の初の議会向け演説は、経済危機に直面する米国の再生を目指す「国家再建シナリオ」を明確に示し、国民に自信と活力を吹き込む狙いがあった。エネルギー、医療、教育が3本柱だが、透けて見えるのは連邦政府主導の福祉重視国家だ。これに対する共和党の反発は強く、新たな党派的亀裂も広がるなど、オバマ流の国家像をめぐる論争は今後も拡大しそうだ。
 ◇「米国は社会主義国家になる」
 オバマ大統領は演説で26日に議会に提出する予算教書が「アメリカのビジョン、将来の青写真になる」と明言。「決定的に重要」な政策としてエネルギー、医療、教育の三つを挙げ、国際的競争力の向上に意欲を示した。
 しかし、演説に対する共和党側の対抗演説で、次期大統領選の有力候補とされるジンダル・ルイジアナ州知事は「米国の強さは政府ではなく、市民の温情深い心と起業家精神にこそある」と真っ向から反発した。
 共和党には医療や教育は民間や州政府の仕事との考えが根強い。オバマ氏の医療保険改革には750億ドル(約約7兆2600億円)の巨費がかかるとの試算もあり、「米国は社会主義国家になる」(ギングリッチ元下院議長)と危惧(きぐ)する声も出ている。
 演説でも「これ以上、医療保険改革を先延ばしにすることはできない」とオバマ大統領が訴えると、民主党議員が総立ちで拍手を送ったが、共和党議員の大半は座席に身を沈めたままで、対立の根深さを見せ付けた。
 「分断」イメージを回避しようと、オバマ氏は市民ら22人を議場に招いた。経営する銀行を売却した資金を社員らに分け与えた男性。老朽校舎の改修を求めて地元議員に手紙を書いた女子中学生……。演説では、苦境下で希望と信念を持って生きる市民の姿に触れながら「すべての米国人がこの国を愛している。我々(政治家)に合意点を見いだしてほしいと期待している」と団結を呼びかけた。
 演説後のCNNテレビの緊急世論調査では、オバマ演説を「肯定的」に受け止めたのは92%と世論の期待は高い。AP通信によると、共和党のレーガン元大統領も議会対策で「非凡なことをした平凡な市民」を動員。その愛国心に訴えて団結を促した。同通信は、オバマ大統領も「その装置を借り出した」と指摘している。

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2、米国:オバマ大統領支持率、60%割れ 経済状況反映か
毎日新聞 2009年2月25日 19時39分

 米ギャラップ社が24日発表した世論調査によると、オバマ大統領の支持率が先月の就任以来、初めて60%を割り込み、59%になった。
 依然高支持率とはいえ、同社調査で就任直後の69%から下落傾向が続いている。改善の兆しの見えない経済状況を反映したとみられる。不支持率も就任直後の13%から25%に上昇。大統領の経済政策に反対する共和党支持層の離反が目立つ。
 調査は21日から23日にかけ全米有権者約1600人を対象に行われた。

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3、オバマ大統領:議会演説…厳しい現実、理想と落差大きく 
毎日新聞 2009年2月25日 15時13分

 【ワシントン斉藤信宏】オバマ米大統領は24日、就任後初の議会演説で「我々は立ち直り、米国はこれまでより強くなる」と訴え、経済危機を乗り越えるために改めて国民に団結と奮起を促した。ただ、米国経済の現実は厳しさを増している。当初目指した超党派の結束が崩れつつある中、大統領は今まで以上に難しい判断を迫られることが増えそうだ。
 オバマ政権の誕生から約1カ月間でダウ平均は1割超も下落し、大手金融機関は経営不振から国有化の危機がささやかれている。「目下の危機の重さでわが国の運命は決まらない」と強調したが、多くの難題が待ち構えている。
 経済危機に直面したオバマ大統領は、就任後の1カ月間で総額7872億ドル(約75兆円)の大型景気対策法案を成立させたほか、金融安定化策、総合住宅対策と矢継ぎ早に景気浮揚策を打ち出してきた。迅速な対応が奏功すれば「今年中にも景気悪化が止まり、10年には回復基調に向かう可能性もある」(米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長)と見られており、依然として米国民の期待値は高い。
 しかし、景気回復の鍵を握る金融安定化への道のりは険しい。既に公的資金による450億ドルの資本注入を受けた金融大手シティグループとバンク・オブ・アメリカは不良資産の処理が進まず経営危機が再燃。20日にはシティの株価が1ドル台、バンカメも2ドル台まで下落した。
 また、経営危機に瀕(ひん)して政府支援でかろうじて存続している米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの再建も判断の難しい問題だ。追加支援には米世論の風当たりが強く、オバマ大統領は「自動車大手のあしき慣習を守るべきではないが、自動車産業を一新して競争できる、勝てる産業にすることは大切だ。数百万人の雇用と数多くの地域社会がこの産業に依存しているからだ」と理解を求めた。
 景気対策法案の審議過程で、民主、共和両党の対立が顕在化するなど、オバマ大統領の掲げた理想と足元の現実には大きな落差が生じ始めており、しばらくは苦しい政権のかじ取りが続きそうだ。
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4、社説:オバマ演説 言葉に続く行動に期待する
毎日新聞 2009年2月26日 0時10分

 国民の理解を求め説得に努める指導者の姿があった。自信と希望を共有しようと励ます言葉があった。
 就任から36日目のオバマ米大統領が24日行った52分の演説である。経済から安全保障まで米国が直面する課題について、政権の方針を打ち出す議会向けの演説だが、火曜の夜にテレビで見ている全米の一般の人々に直接語りかける演説でもあった。
 「経済が危機にあることは、統計を見るまでもありません。日々、みなさんはその中で生活しているわけですから」。“You”という二人称を用い、苦難を国民と分かち合う大統領であることを印象付けた。
 そして、絶望的な状況下にあっても、米国民は乗り越える力を持っていると強調し、鼓舞した。「私たちは立て直し、回復し、より強いアメリカ合衆国となってよみがえるのです」
 メッセージは届いたようだ。演説直後にCNNテレビが行った全米視聴者調査では、オバマ大統領の言葉を聞き、国の将来に「楽観的になった」と回答した人が85%に達し、「悲観的になった」の11%を大幅に上回った。
 対岸の国はうらやましい限りだが、大統領が直面する現実は極めて厳しい。
 米国を再び強くするため、「環境・エネルギー」「医療」「教育」に長期投資を行っていくと力強く表明したことは評価できる。だがそれには、一刻も早く金融システムを安定化させねばならない。経済の出血が続いていては、筋力増強どころではないからだ。
 その金融安定化には追加的な公的資金の投入が避けられない。大統領も演説の中で正直に認めた。しかし、議会の支持を得ることは容易ではない。目指した超党派の結束は実現しておらず、民主党内からも反発の声が上がるのは必至だ。
 大統領が国民に向けて熱く訴えたのは、まさにこのためだ。「救うのは銀行ではなく国民」と強調し、怒りに負けて銀行救済を躊躇(ちゅうちょ)していては、危機が10年も続くと述べたが、議会を説得するうえで世論を味方に付けることが不可欠だと考えるからだろう。
 就任から1カ月足らずで、72兆円規模の景気対策法を成立させたことは、異例のスピードといえる。しかし、急激に悪化する経済状況と株価下落など市場の動揺は、矢継ぎ早の大胆な対策を催促している。
 大統領演説は海外の目も意識したものだった。米国と世界が相互に依存し合う「新時代が始まった」とし、単独主義が目立ったブッシュ時代からの決別を鮮明にした。経済危機克服に、財政的、政治的資源を集中させねばならない現実がある。もはや単独では世界を主導できないと限界を認め、協力を呼びかけたものだ。
 大統領のメッセージは私たちにも伝わった。続く行動に期待したい。

















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石田ふたみ [MAIL]

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