米国発 金融危機関連情報

2009年02月21日(土) スウェーデンGM傘下のサーブ経営破綻

報道
1、スウェーデンのサーブ、事実上の経営破綻
                     2009年2月20日  日経
2、GM、ブランド再編本格化 オペル分離浮上・サーブ破綻も
                     2009年2月19日  日経
3、社説1 混迷続く米ビッグスリーの再建
2009年23月19日  日経

 私はサラリーマン重役であったが43歳から20年間新潟の中堅企業(製造業)の役員をしていた。これらの経験を踏まえるとGMの再建は不可能という前提に立って記述している。GMに対する関心は、どのような崩れ方をするかの一点である。今回は子会社のサーブが崩れた。

 年間で150万台余りを供給して来たスウェーデンのGM傘下のサーブが経営破綻した。08年に150万台の販売実績があるオペルは、GMの欧州事業の主力ブランドであった。GMはスウェーデン政府に対し、サーブ救済のため約5億7000万ドル(約520億円)の金融支援を要請していたが、支援が得られなかったのである。

 金融危機以後、経営破綻した欧米の大手自動車メーカー1号である。国が手を出さなければ、半年余りで世界の自動車の需給バランスは取れるのである。この点スウェーデン政府が金融支援をしなかったのは正解中の正解である

 18日に記述したが、米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは米政府に新たな再建計画を提出し、両社合計で216億ドル(約2兆円)の追加支援を要請した。部品メーカーも負けてはいない。米自動車部品工業会は破綻回避のために最大255億ドル(2兆3000億円)の支援を政府に要請した。米政府は自由経済システムを破壊するこれらの動きに、きっぱりと縁を切るべきだ。

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1、スウェーデンのサーブ、事実上の経営破綻
                     2009年2月20日  日経
 【ロンドン=清水泰雅】スウェーデンの自動車大手で、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のサーブが20日、事実上経営破綻した。金融危機をきっかけにした世界的な新車販売の低迷で、業績が悪化。GMはスウェーデン政府に求めていたサーブへの金融支援も得られなかったため、法的管理下で再建を目指す。金融危機以後、経営破綻した欧米の大手自動車メーカーははじめてで、自動車業界で破綻が相次ぐ可能性がある。(19:00)
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1、GM、ブランド再編本格化 オペル分離浮上・サーブ破綻も
           2009年2月19日 日経(破綻発表前の報道)
 米ゼネラル・モーターズ(GM)が経営再建へ向け傘下に抱えるブランドの再編を本格化する。再建計画で発表した米国の8ブランドの半減とは別に、独オペルの分離・売却案が浮上。スウェーデン「サーブ」は月内に再建へ向けた法的整理を申請する可能性も出てきた。こうしたブランド統廃合が実現すると、2008年に836万台だった世界販売が600万台強まで減る可能性もある。
 欧米メディアは19日までに、欧州GM首脳がオペルの保有株売却や他社との提携を模索する意向を示したと報じた。欧州GMの労働組合などは、オペルをGM本体から分離・独立させることを求めているという。08年に150万台の販売実績があるオペルは、GMの欧州事業の主力ブランド。
 一方、GMはスウェーデン政府に対し、サーブ救済のため約5億7000万ドル(約520億円)の金融支援を要請。GMは同政府から支援が得られない場合、サーブは「月内にも再建へ向けた法的整理を申請する可能性がある」とした。同政府は支援に難色を示しているという。(ニューヨーク=小高航)(14:02)
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3、社説1 混迷続く米ビッグスリーの再建
2009年23月19日  日経
 
米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは米政府に新たな再建計画を提出し、両社合計で216億ドル(約2兆円)の追加支援を要請した。米自動車市場の落ちこみは止まらず、公的支援はさらに膨らむ恐れがある。発足早々のオバマ政権は難しい判断を迫られる。

 GMとクライスラーは昨年末の政府決定で計174億ドルの公的融資を受けた。ところが、その後も資金流出に歯止めがかからず、追加支援を要請せざるを得なくなった。GMなどは人員削減やブランドの整理を進めると表明したが、それで収支が均衡するかどうか微妙だ。

 再建の具体策をめぐって、関係者間の調整が難航していることも前途の多難さを示している。退職者向けの医療保険基金への拠出について、GMは負担軽減を要求しているが、全米自動車労組(UAW)は譲らず、着地点は見えていない。

 債権者に対しては「債権の株式化」を求めているが、こちらも先行き不透明だ。債権を株式化できれば貸借対照表の強化につながり、金利負担も軽減されるが、債権者の合意を取り付けられなかった。

 米自動車危機はGMなどの大手3社(ビッグスリー)にとどまらず、部品会社にも広がっている。米自動車部品工業会は破綻回避のために最大255億ドル(2兆3000億円)の支援を政府に要請した。部品会社が破綻すれば、そこから部品を購入する日系企業にも支障が出る。

 米政府としても多数の雇用を抱える自動車産業の先行きに無関心ではいられず、ガイトナー財務長官らが率いる特別チームをつくって、追加支援の是非などを検討する。

 GMが倒産した場合の世界経済に与える衝撃を考えれば、追加支援もやむを得まい。だが、公的支援は緊急避難のための一時的な措置で、そこから先は企業独自の力で経営を立て直す必要がある。そのためにはUAWなどの関係者も痛みを分かち合う覚悟が不可欠だ。

 いま世界的に自国企業優先主義の風潮が高まっているが、その出発点は米政府によるビッグスリーの救済問題だった。近く訪米する麻生太郎首相も、オバマ大統領に対して、自国企業の保護が行き過ぎないようしっかりクギをさしてほしい。

 民間企業は自由競争による優勝劣敗が原則であり、政府支援はあくまで例外措置だ。これが常態化すれば、競争条件はゆがみ、産業構造の転換も進まない。自由競争の原則に立ち戻るためにも、ビッグスリーの一日も早い経営再建が望まれる。


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石田ふたみ [MAIL]

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