2003年12月18日(木) |
映画 ラスト・サムライ(3) |
武士道の概念を三つあげれば、「義」「勇」「仁」の概念である。ここでは三国志に波打つ義の世界を少々記述したい。三国志の最初の名場面は、仁徳の人・劉備、信義の英雄・関羽、直情の豪傑・張飛3名の義兄弟の契りを結ぶ「桃園の誓い」である。義兄弟の誓いとは、一つの目的に向かって一緒に死のうと誓いである。 三国志の中で「義」を重んじる代表として関羽が描かれている。「一般社会では劉備と関羽は、孔子や孟子よりも重要な道徳的な規範です。孔・孟の道徳より幅広く普及し、効果を発揮してきた存在なのです。中国では香港の警察をはじめ、いたるところで神棚を設けて関羽を祭っています。・・・小説の登場人物が大衆の崇拝する宗教的な対象になったことは、世界のいかなる文学作品もなしえなかったことです」(潮出版社・「旭日の世紀を求めて」の金庸氏の説明から)とある。 中国の人たちの「義」を重んじた関羽に対する尊敬の念は、日本人の想像を遥かに超えている。それだけ「義」の概念が社会の規範となっている。日本の武士道はここで説明するまでもなく、中国文化(儒教)の影響で形成されたのである。それにしても、日本人が忘れかけているの武士道を、アメリカ人が世界に対して宣揚するのだからやや戸惑いを感じる。 主演のトム・クルーズは「サムライこそが、武士道こそが国境さえ超えて人類普遍に持つべき精神」と熱く語るのである。ラスト・サムライは、壮大なスケールで武士道精神を描いている作品であった。 ・悠久の 歴史を称えし 義の規範 これが廃れば カオスの社会
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