測定室からの帰り道 エンヤコラーと階段を上り 踊り場に到着した瞬間 手元からノートがボトリと落ちた。
私はそれを拾おうとして 一歩前に踏み出した時 目測を誤って蹴り飛ばした。
あわわ。 私はずささーと向こうへ滑ってゆくノートを 慌てて追いかけて 再度拾おうと手を伸ばしたところ 今度は間違って踏みつけた。
無実のノート君にとっては散々な仕打ち。 なにしてるんだ自分。 誰かに笑われるならまだしも ギャラリーのいないところで ネタをかましても何一つ楽しくないどころか ちょっと軽くヘコむ。
私はノートを拾い上げるにしては あまりに慎重な動作でもって ようやく目的を達成することができた。 ふぅ。
するとふと私にインスピレーションが舞い降りた。 お?おお? あら。もしやしてこれが 「踏んだり蹴ったり」の語源ではあるまいか?
おそらく先人も、今回のような出来事が有り この言葉を作ったのであろう。 だってこの言葉そのままだもの。 だとすれば。ふふ。 いやぁ昔の人も、存外ドジだったのであるなぁ。 うふふ。アホだね。
そんなことを考えて自分を慰めてはみるが 自分も同様のアホであるし おまけにノートにばっちりついた足跡は消えないのだった。
もしこのことわざを私流に言うとするならば 「踏んだり蹴ったり足跡消えない」だ。
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