解析や観察の撮影システムが電子化されて以来 それまで使っていたポラロイドフィルムが 大量に余ったというわけ。
どうやって廃棄しようか悩んでいると聞いたので 趣味が写真であるところの私は よそよそと事務のお姉さんのところへ行き 気付かれぬよう背後に立ってから
「く、くくください。」
と爽やかに廃棄を引き受ける意向を表明。 お姉さんは「ひゃうっ!」 とかいうおかしな悲鳴をあげて驚いた後、 「この変態が!」とか「慰謝料出せ」とか 謂れのない悪態の言葉を僕に吐きながらも 「ばれないようにもって帰ってね」 とお許しを出してくれた。 でもお姉さん。ばれないような量じゃありません。
「こんなにたくさんどうするの?」 と聞かれ 「風景などを撮ったりするのです」 と素直に答えたところ 「そんな優雅な趣味を持っているようには見えない」 と暴言を吐かれた。
そこで私は、 自分は見た目よりもよっぽど繊細なのですよ といった主旨の反論を展開し、彼女の持つ 私に対する偏見を払拭しようと試みたが 金髪のくせに。とか、28歳のくせにタンコブ作るなとか 装置に変な名前つけてるやつがなにを言う。 などと言われるうちに あ。とか。う。とか反論できなくなるのだった。
結局は 私の撮影した写真を彼女にみせ 本当に私がそういった趣味を持つのか否か 判断してもらうことになった。 なぜこんなことに。
ともあれ今から私は 彼女をガツンと打ち負かすため とても良い感じの写真を撮るぞ。と 意気込んでいるのである。
ただ一つ問題があるとすれば そういえば僕はポラロイドカメラを持っていないのだった。
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