2001年04月24日(火)


昨日のバイトはとても暇でした。
居酒屋のバイトなんですけどね。
小雨がパラついていて、
風も冷たかったからみんな家にいるようでした。
9時になっても誰も客が来ず、
マスターと二人でくだらない話などしてて
今日はもう上がりかなーとか言ってたらふいにお客さん。

見たことのないお客さんです。
30代後半といったところでしょうか。
そこいらにいるような、普通のオッサン。
このくらいの年代の客さんと言えば大体、常連さん以外はあまり見ないので珍しいなぁ。と思っていました。


俺&マスター>いらっしゃいませー。




僕とマスターはエプロンを締め直し、お客さんを案内。
その人は無言で傘を畳み、なにやら沈んだ表情でカウンターの席につくと大きなため息ひとつ。
視線が合ってもニコリともしません。
そして


客>ジョッキ。


とだけ言って、また黙ってしまいました。
僕はおしぼりを出し、ジョッキを注ぎ、お通しを出して注文を待ちます。



俺>ご注文はお決まりでしょうか?



その人は、メニューを1度だけチラっと見て


客>豚串とモロキュウ。




と注文しました。
なにやら愛想のない客です。
機嫌が悪いのでしょうか。
でもまぁ。たまにはこういう人もいますから。
僕はただ自分の仕事をするだけです。
話し掛けられなければ黙っていればいいのです。

でもマスターは違います。
店の主ともなると、やはり客とのコミュニケーションは重要です。
無言な居酒屋なんて居心地悪いだけですから
カウンターに座っている客さんに色々話題を振って、楽しい雰囲気にさせるのもマスターの仕事の一つです。




マスター>今日は嫌な天気ですねぇ。

客>ん?・・・ええ。まぁ。

マスター>お客さん。はじめてですね。この辺に御住まいですか?


客>・・・・・・いえ。違います。

マスター>うちのモロキューは味噌が特製なんですよ。

客>・・・・・そうですか。

マスター>・・・・・・。

客>・・・・・・。






うーわー!
嫌な空気っ!
なんなの。なんなの。

どうやらこの客、会話する気がない様子。
だったらバーにでも行けよ。もー。
無口な客もたまにいますけど
ここまで露骨に黙り込む人なんて見たことなかったです。
嫌なやつー。ムカツク。



マスターもてこずっているようでした。
が、がんばれマスター!応援してるよっ!





まぁ、僕は皿洗いして
知らんぷりしてましたケド。





諦らめないマスターりべんじ。



マスター>なんか元気ないですね?なにかあったんですか?

おおっ。マスター、ガッツあるじゃんっ。かっこいいっ。


客>・・・・・・。






























おおいっ!!シカトかよっ!





こいつは強敵だ・・・・・・・・・・。
マジで会話しやがらねー。
カウンターの真ん中の座ったくせに。
マスターの真ん前に陣取ったくせに。

マスターの顔色・・・・・悪くなってきたゾ。

ていうか目が泳いでるぅ。
マスター気が小さ過ぎぃ。


うちのマスターをここまで追い込むとわ。
こいつ。この客。
ムカツクけど・・・・。ムカツクけど・・・・・。































オモロイ。



ていうかだんだん楽しくなってきた。






なにが楽しいかって。
マスターのうろたえようが最高。(悪魔)





心なしか、串をかえす手も震えているような。




俺、ウッキウキ。




も、ももももももっとやってくれっ。
もっとやってくれっ。さぁ!




ヨダレ出そうでした。
がっつし聞き耳立てて傍観決め込んでました。
だって滅多に見れないんだもん。マスターのあんな顔。








すると不意に、客が口を開きました。

客>・・・・・・・・・ちょっと・・・・悩み事があって・・・・。





おおっ!これは新展開っ。
この客が黙りこくっていたのは
ただ単に無愛想だったんじゃなくて
すんげー落ち込むような出来事があったのかっ!
なるほどっ!それでか!




しかし一体なにがっ!
大のオトナをここまでブルーにさせる理由はっ!?






き、きききききき聞きたいっ!!!




お、お客さんっ!
ぜひその理由を教えてくださいっ!
なんなの?!なにがあったのっ?!





ていうかマスター!なにしてんだよっ!!

串なんて焼いてないで

早く理由を聞けよっ!
(謀反)








僕の祈りが通じたのか、マスターが尋ねる。





マスター>一体どうしたんですか?あ。聞かないほうがよろしいですか?







ゴラァ!マスター!
余計な気使ってんじゃねーよ!
ズバっと聞け!ズバッと!(もはや敵)







そんな僕の心の中の叫びも知らず
またもや重い沈黙が流れ、
そして

それを打ち破るように客の口からゆっくりと話され始めた話は
僕とマスターの興味を引くに十分な
切ない恋物語だった・・・・・・・。









長くなったので続きは明日。←得意
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日記才人