気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
ゆにくらーでいきます。 そんなこんなで、一行は町外れの温泉施設へ向かった。途中、兵士一人、通行人三人(うち女一人)、旅行者二人を魅了した。 温泉施設は逗留することが出来るようになっていて、様々な病を抱えた者たちがいた。施設の案内人が三人を部屋まで案内した。 「お客さんらはウォンテッダーで?」 「ああ、そうだけど。ちょっと訳ありで」 と、バルクが答える。 「へえ、もしかしてそこのお嬢さんの魔力が原因で?」 案内人が言った。 「どうしてわかるの?」 「いやあ、僕も悪魔なもんで。大丈夫、ここでその魔力も落ち着きますよ。この温泉作ったのなんたって僕ですから」 「作った?」 「ええ、万能温泉が出来れば金儲けできるって思って。これがバカ当たりでさ......コホン、今のご内密に。そういや、ウォンテッダーだっけ? 僕を退治しないよね?」 「いや、別に。金儲けが好きな悪魔もいるんだな、ルイ」 案内人、ほっとしたようだった。 「私たちは魔族と違って魔力を欲するのは死に関わる時だけよ。お礼であればお金でも羊でもいいのよ」 「ふーん」 「で、あなたの名前は?」 「パゼットです。あ、ここがあなた方のお部屋ですよ。温泉はお部屋の隣りにありますからお好きな時にどうぞ」 小さな小屋があり、その隣りは塀に囲まれたスペースがある。その塀の上から湯気が立っていた。『露天風呂付きロッジ』と称されていて、仲間や家族で来る者たちもいるのだそうだ。 「なるほどのう、高い筈だ」 「まあまあ、ルイを治す方が先決さ。俺もこれ買っといて良かったぜ」 エモク酒『冬の陣』と書かれてた瓶を掲げてみせていた。エモクは小さな白い粒状の穀類で、一部の地域ではそれを主食とし、焚いて手で握ったものをお弁当とするという。 それにしても、とアニムはパゼットを感心した。金儲けの為にこの施設を作ったのだから。
草うららか
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