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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
と、言われました。 「人魚に......そんな、馬鹿な」 人魚は人に恨みを持つ。それがどんな恨みなのかは知られていない。ともかく人を誘い出し、海の贄とするくらいなのだから、すくなくとも人は嫌われた存在、馬鹿な存在とされているはずだった。 そんな人魚にこの男は惚れられたのだ。彼女は驚いた。 「だから俺は海の贄とはならないんだ」 「へえ」 魚をごちそうになり、彼女と虎は満足して宿に戻った。 その夜も心地よいさざ波を聞きながらよく眠った。 次の日、海岸はざわめいていた。 「馬鹿だよな」 「ああ、全くだ」 「夜は海に出るなと言ったのに」 昨日の男が海の贄となったらしい。 「どうしてだろ?」 彼女はつぶやく。人魚に惚れられた男だと言うのに。 「まんまと騙されたんだよな。人魚は最初からヤツを贄にしたかったんだ」 誰かが言った。
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