|
気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
散らかってます。 彼女と虎は小さな木の下にいた。 「あら、アタークじゃない? 久しぶりね。あなたがここに来るなんて、珍しいわ」 「お久しぶりです、ファブリ」 ファブリと呼ばれた少女はにこやかに猪を見た。 「あら? お客様? お父様の?」 と、更にうれしそうに言う。 「はい」 「クレンです」 「マレモン」 「人と虎。なんて珍しい組み合わせなの? アターク、私から贈り物をしてもいいかしら」 「ええ、お二人とも、この森に入ってからというもの何も口にしておりませんから、よろしくお願いします」 「そう。ちょっとまってくださいね」 少女はそう言って、自分の後ろの木から小さな実を二粒とって彼女と虎に渡した彼女は指でつまんでそれを受け取り、虎は直接口で受け取った。 「わあ、何コレ、おいしい」 受け取った実を口にするとさわやかな甘みが口に広がる。乾いていた口の中が潤い、空腹感がなくなった。 「これが神の実か。噂に聞くだけある」 「私が丹誠込めて育てた実なのよ。お兄様たちにも出来なかったんだから」 「ねえ、マレモン、神の実って?」 「われわれの間では、飢えの苦しみも乾きの苦しみもこの実一つで幸せになれるというものだ。神のみが育てることが出来る」 「その神様だってそう簡単に育てられる代物じゃないものよ」 「ありがとう、ファブリ様」 「私も人に会えて良かった。私と同じ女の人だだから、とてもうれしい」 「あなたは、主にはなるつもりはないのか?」 と、マレモン。 「私は、まだ幼いからってお兄様たちが相手にしてくれないの。大変なのはわかるけれど、私もなりたい」 「そうか」 「私たちが主にしてあげるわ」 「えっ」 「まあ、まかせなさい」 彼女は軽く胸を叩いた。
|