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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
アレです。 彼女と虎は街を出る。 「行き先は?」 「そうだな。ここは少々寒い。温かいところへ向かおう」 「じゃあ、東の方がいいわね」 「クレンに任せる」 彼女たちは東に歩き出した。 クレンは妙な気分になりながらも虎の横を歩く。人語を話す虎は紳士的で優しい。不思議だった。もう少しあの街にいるつもりだったのだが、虎と旅する事になるとは思わなかった。父の敵討ちを理由に故郷を飛び出して彼女はやることもなく、ぶらぶらと旅をせざるを得なかった。だが、今はなんとなく旅をする意味を掴みかけた気がした。 一方、虎はなんてことない。ただ、自分に人が近寄るのは言葉を教えたじいさん以来だ、と思っていた。それも、女だと。 「クレンには、いわゆる夫婦となる相手はいないのか?」 「はぁ? いないわ、そんなもの」 「そうか」 「そう。私、男なんか信じない」 小さい頃にさんざんいじめられたせいか、彼女はそう言った。もちろん、それだけではないが。虎は首をひねった。 「人、それぞれっていうのよ。虎だってそれぞれでしょ? あなたのように言葉を話す虎もいれば、人に襲いかかる虎もいるでしょ?」 「そうだ」 「だから、私のように男なんか信じない人もいるの」
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