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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
どれだよ。(一人ツッコミ) 「よう、虎」 そんな声が聞こえた。彼女が声のする方を見る。下の方だった。 「犬?」 いつの間にか地面に座っている犬だった。やや大きめな犬で首輪をしているが鎖はない。耳がぴんとたった、薄い茶色の毛の犬だった 「お嬢さん、お早うございます。今日もいい天気ですね」 「お前、チャーミグから言葉を教わった犬か?」 「おうよ、虎。お前もあのじいさんから言葉を教わったのか?」 「そうだ。でな、じいさんが亡くなったことを伝える為に私は話す動物たちを探している。兎に会ったが、話も聞かず逃げられてしまった」 「そうか、あのじいさん、死んじまったんだ......わかった。俺もお前のように伝えるよ。俺は飼われているからこの街から出られないがね」 「それはありがたい」 「でよ、みんなに伝えてどうするんだ? 葬式でもやるのか?」 「いや、葬式は近所の人が一通り済ませた」 「じゃあ、なんで伝えまわっているんだ?」 「なんとなく、そうしなければならないと思っているからだ」 「ふうん。まあ、俺たちが集まったら面白いかもな。お嬢さんは? まさか、この虎に惚れちまったってことはないだろうな?」 「違うわ。ところで、あなたのお名前は?」 「ザブ」 「ザブね。よろしく、ザブ」 彼女はザブの頭を撫でた。ザブもクセで自分から頭をこすりつけるようにする。 「じゃあ、俺はこれで失礼するよ。また逃げ出したと思われるだろうな。美しいお嬢さん、また会う日を楽しみにしているよ」
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