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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
はい、恐ろしいほど金欠状態です。 「私は、ね......。お父さんの敵討ちに旅に出たの。でもね、それは表向きの理由。これ、お父さんの形見なんだけど、私には少し重いの。ただ、単に私は自分の生まれたところにいたくなかっただけなんだ」 彼女が言うが、虎はきょとんとしている。 「ごめんね、つまらない理由でしょ」 「いや、人というのはどうして生まれた場所にこだわるのだろうと思ってな」 「虎は違うの?」 「一つのところに定着して暮らすのは人が多いが、それは何故だろうと思ってな」 「なんでだろうね」 朝早い大通りは人はまだまばらだった。それでもやはり虎は目立つ。それで、虎頭の美女も一緒なので余計だった。 「それで、マレモン。おじいさんが言葉を教えた動物たちには会えたの?」 「ああ、兎だけだがな」 「兎......」 「兎のやつは駄目だ。私の姿を見るなり逃げて行ってしまった」 「そう」 と、返事しつつ彼女は当たり前だと思う。いくら言葉で意思が伝えられるとしても、虎と兎では隔たりがある。食うか食われるか、の隔たりが。 「公園にも行ってみようか?」 「公園......ああ、人が遊んだり休んだりするところか」 大通りの突き当たりには大きな公園がある。その中に池や広場がある。ただ今はあまり人はいない。 「広いわね」 「私が駆けるにはちと狭い」 散歩中の老人が虎の姿を見て首を傾げたが、彼女は見なかった事にした。公園のベンチに腰かけ、虎はベンチに登ってそこに座った。 「うん、今日はいい天気のようね」 「だが、今日の夕方には大雨だろう」 「分かるの?」 「私のひげが教えてくれる」 虎は前足でひげをこするような仕草をする。
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