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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
いえ、自分の持ち物でなく。 「そうじゃないの。熱いのが駄目なのを、猫舌と言うの」 「そうか。人の言葉は深い」 彼女はそのスープをかき混ぜて冷ましてやった。それを再び虎に渡す。虎もおそるおそる舐めて、気に入ったのか、おかわりを所望した。 「いいわ、このスープ一口飲んだけど、あなたにあげるわ」 「かたじけない。今まで食べたもので一番うまい」 「そりゃそーよ。だって、ビーフコンソメだもの」 「ごちそうさま、お嬢さん。ありがとう」 「例を言うのはまだ早いわ。ケーキがあるもの。それに私はお嬢さんという年でもないわ。そいういやまだ、名乗ってなかったわね。私、クレンっていうの。クレン=グリム。あなたにも名前あるの?」 「私はマレモン」 「マレモン?」 「私に人の言葉を教えたじいさんが名付けた名前だ」 「へえ......」
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