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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
なんかちょっと昔に戻ったみたいなタイトルです。 図書館に入ると軽くカビ臭い匂いがした。ここは昔からそうだ。俺はアニムほど本は読まないが、旅の途中によっては何か本を一冊読んで行く。ここの本は国外持ち出し禁止だから読むとしたら図書館内か宿の部屋ぐらいだ。 スタウトは面白そうに本を眺めている。本人の言う通り本は読むらしい。 「来館の方ですかぁ」 カウンターからひょこっと頭が飛び出た。二本のおさげの少女だった。見た事がある。確か、この城の王女の一人、マーテルだ。彼女は先ほどの練習試合に参加していない。 「貸し出しの際には私に声を掛けてくださぁい」 また、頭が引っ込む。 しばらく本を選んでいると、数人のウォンテッダーが入って来た。本を手にしてどさりと床に落とした。 「すいませーん。本は乱暴にしないでくさぁい。古いので壊れやすいですからぁ」 マーテルが間延びした声で注意した。 「ああ? 嬢ちゃん。文句あんのか?」 もう一人の男もまた本を乱暴に床に叩き付けた。 「ああ! そんな乱暴にしないで。この本はオリオ王の代からある古い古い本なんですから」 「天下のビアソーイダがそんなみみっちいこと言うなよ」 ああ、やばい。こういうことをしていると......。 「おい」 スタウトが男の腕を掴む。 「本は大事にしねーと駄目だぜ。でないと......あの子が黙ってないぜ」 マーテルがカウンターから出て来ている。小柄だがその両の腰には剣が差してあった。その両の剣を抜き、男に構える。やはり、ビアソーイダ王族だ。 「あなたも邪魔するんですか? なら容赦しません」 彼女が動く。二本の剣がスタウトに向かった。スタウトはそれを剣で受けた。 ヒュー、という軽い口笛。スタウトが発したものだ。それが彼女への感嘆だ。 「誤解するなよ、俺は本を借りに来たんだ」 「あっ」 「それよりも、この野郎たちを出入り禁止にしろよ」 マーテルの剣に驚いたのか、男どもはあぜんと突っ立ている。 「あ、はい。兄さま、兄さまぁ」 彼女が剣を収めて、誰かを呼んだ。彼女の兄は最低でも三人はいる。奥から返事があった。 「なんだ? マーテル」 開いた本を顔に乗せていた男だった。やや、ぼんやりとした風貌だった。ブリュットだ。彼も先ほどの練習試合に参加していない。
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