気まぐれ日記
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……どうせ、予定ないですよ。
今週の一言(アレ?):総集編すると、食べ物に関して仲良くすることができない人たちの話。
その朝、良介は秀介について回った。彼には特に予定がないらしい。 十時ごろ、彼宛に電話があり二、三言話して切った。 「兄貴、どこに行くの?」 「ああ、なんか玲子が付き合えって。断るとあとでうるせーからちょっと行ってくるわ」 「うん、行ってらっしゃい」 良介は彼を見送ると、すぐに跡を付ける。外に出た彼にはすでにいろいろ付いていた。良介はなんだか頭に来た。 なんで、こんな他人に執着しないとなんないんだ。 宗教団体の一員らしい黒服の男が、闇に消えた。多分、可奈ちゃんの仕業である。 「部長」 親指を立て示す。良介も同じく返した。 「後は……」 しかし、秀介はくるりと、振り向いた。 「出て来いよ。あんたらに付けられるのはもうたくさんだ。なんで俺を放っておいてくれないんだ」 佐藤学園のスパイ三人と、布で顔を覆ったファンクラブ会員三人。全部で六人。 「兄貴。そうこなきゃ」 「お、良介」 「加勢します。先輩」 「可奈ちゃん……」 しかし、スパイ三人も会員三人も怖気付いたのか、逃げ出そうとする。 「ま、待て!」 と、言って待つ人はいない。 「大丈夫。もう少しでくると思います」 と、可奈は冷静だった。 「何が?」 しゃんしゃんしゃんしゃん……
「な、なんだこの鈴の音」 だんだん近づいて、それはやってきた。スパイ三人会員三人がトナカイに蹴飛ばされる。 「メリークリスマス!」 トナカイ二頭にそりを引かせた白いひげを蓄えたおじいさんだった。 「メリークリスマス……」 「もう、おじいちゃん。それは近所迷惑だっていっつもいってるじゃない!」 「おお、君は確か良介君だね。孫がいつもお世話になっております」 「おじいちゃん、いつからそんなに耳が遠くなったの?」 「そして、君は秀介君だね、孫が……」 可奈の腕がアゴひげに伸びる。それをぐいっと引いた。 「余計なこと言わなくていいから、もう、いい年なんだからサンタコスで回るの止めてよ!」 「昔はあんなに喜んでくれたのに……」 秀介は驚きながらも、笑い出した。 「いや、可奈ちゃんのおじいさんって、面白い人だね」 それに比べて、岡崎家の家長(良介たちの祖父)は厳しい。 「先輩、笑い事じゃないです」 「ごめんごめん。でも、いいじゃないか。そんなおじいさんがいても」 「……」 「いや、ほんと。久しぶりに楽しいクリスマスだよ」 「本当、そうですか?」 「うん」
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