気まぐれ日記
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明日、お隣の席に座っている方とお昼を食べに行きます。別に、年齢が近いわけでもないし、立場も違うのですが、隣というだけで話す機会が多くて、前々から「そのうちお昼を外で食べてこよう」と言っていたのです。……そんなときに限って、明日は雪。
「確かに、珍しいかもしれねーが、ジュリちゃんも十分珍しい魔族だよ」 「なんでだ?」 「だって……」 「母様が直接生んだからか? それもそうだが、お前の方が珍しい。魔族は珍しいものが好きだからな」 それは言えてる、と彼は思う。実際に彼に会いに来る魔族たちは、元が人間の魔族とはどんなのだ、という理由で来る。 「お前が一人になるときを狙ってくるだろう。そういうことで、囮になれ」 「わかったよ」 「じゃ、そういうことで」 「お気をつけて」 樹理と妖精主は姿を消した。 ブロードはあてもなく歩き出す。しばらく歩いてふと、視界が変わる。うっかり森を出てしまった。 「誰だ」 「なんだ、おめえは?」 イレグディント兵たちだった。森を出たところはイレグディント軍が野営しているところだった。見張りだろうと思われる兵士数人が、焚き火を囲っている。 「ジョウロフェンツァの奴か? こんな夜中に何をしている?」 「俺は、旅のもんだよ。今はミレンディへ向かってんだけど。夜行性なもんだからこうして夜に距離を稼ぐんだ」 「嘘じゃあるめぇな?」 「なりをみりゃ分かるだろ?」 ちなみにいつもの服を変えて、この時代に合わせ旅人に扮している。 「まあ、おめえのような奴一人が俺たちに向かったところで勝ち目はねえな」 「少し休んでいったらどうだ?」 「悪いけど、急ぐんだ」 こんなところでカティエリに来られたら、この軍は全滅だろう。彼もこの兵士たちをかばうことは出来ない。
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