気まぐれ日記
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自転車でコケました。どうやっても、どうゆうわけか自転車に乗るとコケることを前提にしなければならないらしい、私は。 膝が痛ー。血が出たー。あうう……。
メリーレイク島を出て、一週間。二人は海の上にいた。その理由は、樹理が、駄々をこねたからだった。 「船に乗ってみたい」 その一言で、彼らは長い船旅をしている。ブロードは一応その提案を却下しようとしたが樹理は押し通した。 「どうしても、あれに乗ってみたい」 やはり彼女は子供と変わらない、とブロードは渋々と樹理に付き合うことになった。ブロードにとって、この船旅は退屈この上ない。船ではただの人間として過さなければならない。この一週間で移動魔法を使ってこの船から根家出そうと何度も思った。その都度樹理に、それはならん、と言われ堪える。少なくとも樹理は、船旅を楽しんでいたのだ。 「まだまだなんだよな……」 「そうだ」 どこまでも見えるのは海で面白いものなどない。ブロードは個室で寝てばかりいた。ある時甲板に出て昼寝をしていたら、声を掛けられた。連れである樹理ではなく、三十代ほどの男だった。 浅黒い肌に金髪、淡いグリーンの眼をしている。動きやすいように施したローブ姿だが、聖職者ではないようだ。 「久しぶり。五十年は会ってないな」 「?」 一瞬考えたがブロードは、はっとなった。 「アニムか。大きくなったな!」 「思い出したか。お前がいなくなって五十年だ。エルフの俺でもこれくらい大きくなるよ」 「……アニム、悪いけどそれやめてくれ」 「何をだ?」 「その言葉。全然板についてねー」 「……わかった。で、お主。今は何をやっておるのだ?」 「船旅」 「それは今の小生も同じだ」 アニムにはごまかしは効かない。興味があれば首を突っ込むだろうし、手に負えないとしたら手を引く。命知らずとされているウォンテッダーの割に堅実に生きているのである。 「魔族狩り」 「ほう」 「オフィーリス姉ちゃんに頼まれてな」 「では、樹理と一緒なのだな」 「ジュリちゃんを知ってんの?」 「話には聞いたことがあるが、見たことはない」 「へえ、じゃあ……」 そこで冷たい声が飛び込んだ。 「ブロード、何をやっている? そやつは誰だ?」
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