気まぐれ日記
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母が休み取れたので友人たちと、どっかの温泉行くといっている。つーか、母は乗り気じゃないけど(母の)友人たちは乗り気だ。 インターネットで宿探したら、良さげなところが洞爺湖温泉だった。 「マミー、土産は木刀に『洞爺湖』って彫ってもらって。行けばやってくれるらしいから」 「はあ?」 ところで、前にもここで述べたような気がするけど、看護婦が看護師となった今、婦長と言う言葉はあるんでしょうか?(調べりゃいいじゃん)
夏目が目を覚ましたのは、朝だった。時間的には早いらしい。もそもそと起き上がるとそこが個室と言うことに気づいた。 「……?」 あの病室から逃げ出して、森の診察室の前まで来たところで倒れたのは覚えていた。その後、長い夢を見た。なのに、夢は何も覚えていない。 「さよなら?」 その言葉だけ覚えていた。何がさよならなのかわからない。 「やあ、おはよう。夏目君」 「おはようございます」 「やっぱり、君はそうなる運命だったんだね」 「?」 「気づいていないのかい?」 「あ……」 昔はそんな自分がいやだった。受け入れてからは、この身体になるのは苦ではなくなった。むしろ、楽しむようになった。 「たぶん、もう戻れることは無いと思う」 「男である俺は死んだってこと?」 「そうだね」 「もしかして、先代の王が亡くなった?」 だから、さよなら? 「うん。だろうね」 「ああ、だから、なんか殺風景なんだ」 「見えなくなって、残念だよ」 「うん」 夏目はすぐ退院することになった。女の夏目はいたって健康である。病院にいる必要が無い。 「もうすぐ、この病院は面倒なことになるからね。できればしばらく近づかない方がいい」 「何それ?」 「内部告発するんだよ。もしかして、君にも迷惑がかかるかもしれないけど。その時は、正直に答えてくれていいから」 「そうなったら先生が……」 「気にしないでいいよ。私もそれだけのことをしてきたんだ」 「でも、惜しいよ。先生、名医なんだから」 「そう、思ってくれるのかい?」 「話をしているだけで、気持ちが軽くなるから」 「……ありがと、夏目君」 「先生、こちらこそ、ありがとう」
「十真様!」 井上の家に行き、セリナを迎えに行く。 セリナが夏目に抱きついて喜んだ。 「セリナ、苦しい」 夏目にそう言われてセリナは腕をほどいた。 「ごめんなさい」 「謝るのは俺だよ、セリナ。心配ばかり掛けてごめん」 「でも、十真様。無事でよかった」 セリナはぽろぽろと泣き出す。 「昨日の夜、先代の王が亡くなったので病院の前まで行ったんです。本当は、先代の王が亡くなるときに十真様も連れて行こうとしたんです。でも、十真様には女王がいるから連れて行けない。だから、少しだけ持っていったそうです」 俺の、男の部分を……少しだけを、か。 よくわからなかったが、思ったとおりもう、戻ることはないだろう。しかし、夏目はそれで納得していた。そんなことはもう気にしてはいないから。
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