気まぐれ日記
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三年越し、しかも夏から秋にかけてのみのフェアリードールを完結。でも、完結とか行っておきながら番外編とかなにやらあるのはお約束と言うことで。また、こいつらは出てくるかもしれないですね。(そのへんは私の気まぐれですけど)結局『ドキドキ新婚生活』やらなかったし。(笑) 一応、長い間ご愛読(してた?)ありがとうございました。 つぎ、何か書こうかな……もしよかったらブログにて受け付けます。コメントとして。と、いうか東京へ行ったときの話をまとめてみたので読んでみてください。
それからは平穏だった。 森の病院のこともテレビのニュースで騒いでいたが、それもおさまっている。夏目のところには事情聴衆など何も来なかった。院長が一部もみ消したのだろう。それでも、院長は逮捕され長い裁判に掛けられている。これまでに森から一度だけ連絡が来た。 「うん、上手くやったよ……えっ? ああ、元気だよ。医者の不養生っていうけど、私はね、それはしないようにしてるから」 短い電話だった。今のところ、彼は逮捕までされていないらしい。夏目が退院するとき、友人の医師を紹介してくれたが、そこに行く予定も無い。 夏目は元気になってからというもの、忙しくすごしていた。バイトをしてもちっとも体に影響はない。梶元が斡旋してくれたバイトはなかなか給料がよかった。菓子などの出費を少し我慢して貯めていけば、セリナにいい服が買ってあげられる。ドールとはいえセリナも女の子だから、かわいい服とかを見ると立ち止まってぼんやりと眺めていることがある。 井上たちが新たなドールを開発し、それで皆で動物園と遊園地に行った。井上一家と、井村と美紗、梶元と美幸。大所帯だ。さぞかし、変な大人たちに見られただろうが、それは気にしなかった。それよりも、約束を果たせてよかったと思った。 小遣い稼ぎ程度のバイトと執筆。それで彼女は満足だった。時折尋ねる人たちは、皆優しく、ゆかいだ。 ただ少し残念なのは、あの景色がもう見れないことだ。もう、見れないのかと女王に尋ねても女王は黙っている。それもいつものことだった。普段の女王は眠っている。 それから、半年が経った。 「すっかり寒くなりましたね」 「そうだね」 熱いコーヒーをセリナは慣れた手つきで入れる。いつものインスタントだが。それでも、その香りは良く、舌になじんだ。 「リュウノスケがかりかりやってるから入れましょうか?」 「うん」 彼女はいつもベランダに来る猫を部屋に入れてやる。寒いときはこうやって避難してくる。猫、リュウノスケは用意されてある座布団で丸まって寝る。それでも、ある程度の時間になると出せとベランダに爪たてる。多分、どこかで飼われているのだろう。 「あのね、セリナ」 丸まって寝ているリュウノスケを撫ぜながら夏目は照れくさそうに話しかけた。 「なんですか?」 「今更だけど、俺ね、不安だったんだ。ずうっとこのままでいいのかなって。でもね、最近はこのままでいいやって思うようになったんだよ。変わるときは変わるからね」 現に、自分は変わった。身体も心も。しかし、本質的なものは変わることはない。 「無理に変わることはないし、慌てても変わらない……だからね、これからもよろしく」 「もちろんです、十真様」 夏目は手を伸ばしてセリナに握手を求める。セリナはその手を握った。やわらかい暖かな手が夏目の手を包み込んだ。
おわり
明日はお休み。月曜日は反省(してねーだろいつも)会。
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