気まぐれ日記
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夏目は倒れ、セリナは泣きじゃくって病院へ……。 一体どうするつもりだったんだろー、私。旅行行っているときにすっぽりと忘れてしまった。 これは、物書き(私、自分の文は小説だと思っていないけど)への挑戦状なのか? と、いうか、自分の首を真綿で絞めてるよ。
病院の前に下りたセリナは空を見上げる。当然のことながら、面会時間など過ぎているため、夜間専用の入り口だけに明かりがついている。 「さよなら、先王様……」 再び、セリナは泣き出した。井上は意味がわからずおろおろした。しかし、彼がおろおろしたところで何も変わらない。セリナが泣き止むまで待っていた。何をすることもなく、ただ突っ立っていることしかできなかったが。 「井上さん、先代の王が亡くなりました」 セリナがようやくポツリと言った。 「先代の王って、妖精の王?」 「はい。十真様についていました。けれども十真様が……」 「じゃあ、夏目さんは!」 「十真様には女王がついています」
森は急に視界が開けたような気がした。 あの異常な風景はすぐに慣れたのにもかかわらず、こんなに早く目の前から消えてしまうとは思わなかった。少し残念な気もした。 夏目が倒れたときはもう終わりかと思った。意識も脈も無く、そのまま目を覚ますことはないと思った。しかし、今は静かに寝息を立てている。それは、いずれ目を覚ますということだ。 ほら、やっぱり。君は生きるんだよ。 「しかし、本当に残念だ」 あの世界を最初から堪能していた夏目が少しうらやましかった。
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