気まぐれ日記
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「もみじまんじゅう」を伯母上から戴いた。 問題は中にある小冊子「もみじまんじゅうの由来」。 前にも読んだことあるんですが、伊藤博文が広島を訪れたとき、お酌する娘さんの手を見て「もみじのような手だ」と戯れた。女中がそれを見て紅葉型の饅頭を作らせたことが始まり(らしい)。 それって、伊藤さんがロリコンだったってことですか? それとも、当時としては珍しいことではなかったのか……。(つーか、それだけでロリコンと決め付けることはよくないことです。でも、その小冊子を読んで一番最初に思ったのは……私が悪いんです)
焦げたところを削り、少し焼き色の濃いクッキーを口にする。少しの苦味と甘みを抑えた味がする。夏目が耐えられない味ではない。彼は甘いものをあまり好きじゃないからだ。美幸は何を食べても喜んで食べる。(ただし、彼の飲むコーヒーは願い下げしているが)特に夏目のところで菓子などをご馳走になるのは楽しみにしている。だから、セリナが作ったクッキーも喜んで食べていた。 「夏目さん、今度、梶元と遊園地行くんですけど……夏目さんも行きませんか?」 「へえ、セリナ、行ってみようか?」 「はい。一度行って見たいなって思ってました」 「で、あたしたち大人だけで行っても恥ずかしいから、井上さんとこの子供たちも連れて行きたいなって思っているんです……夏目さんから声を掛けていただけませんか?」 「うん、いいよ」 「やった」 「でも、梶元さんと行くんでしょ? 邪魔にならない?」 「やーね、デートじゃないんだから。新アトラクションに興味あるからなんですよ。せっかく行くんだから大勢の方がいいなって」 「そう。新アトラクションねえ……」 夏目がアイスコーヒーから口を離した。心なしか、顔が少し青ざめる。 「新アトラクションって、どんなのですか?」 「うん、ぐわーって行って、がーっと行って、ドーンって行くすごそうなの」 「ぐわーって行ってがーっと行って、ドーンって行くんですか?」 「セリナちゃんも乗ってみる? 夏目さんは?」 「俺は遠慮します」 「あ、夏目さん絶叫マシンは苦手なんですね?」 「ええ、とても」 「大丈夫、乗れって強制はしませんから。えーと、じゃあ、日にちは井上さんの子供たちが都合の良い日にしましょうね」 「そうですね」 その後、美幸は少し雑談をして帰って行った。いつものようにこの部屋は客が帰ると淋しくなる。 「美幸さんって、本当ににぎやかですね」 「うん。だから彼女が帰ったあとはちょっと淋しく感じるよ。今は、セリナがいるけどね」 「じゃあ、お一人だったときは……」 「うん、すごく淋しかった。だから、セリナがいてくれてすごく和らぐんだよ」 「ありがとう、マスター。その言葉がうれしいです」 セリナが喜ぶ言葉をあと何回口にできるのだろうか、と夏目は思った。
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