気まぐれ日記
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来ないと思って職場に電話かけて聞いたらたら、二週間は来ないそうだ。うちの母が仕事を辞めたときは二、三日で来たそうだ。(しかも本社は東京) この差は一体何!?
意外にも早くその日は来た。しかし、夏目は覚悟はしていたのでそれほどショックなことではなかった。 体がもう長くないことを教えている。体が動かなかった。そういう病だから。 「十真様……」 「ごめんな、セリナ」 「どうして、黙っていたんですか?」 「言えなかった。言えば、現実になりそうだった。言わなくても現実になると言うのにね」 「とにかく、先生に電話を!」 「できれば、ここで死にたい」 「何を言っているんですか! 十真様、諦めては駄目です!」 「あの、ね、セリナ。ちょっと……」 夏目はセリナによって、強制的に入院させられてしまった。
「そういう手続きでいいんだね」 「うん。最期はね」 「わかったよ。もう少し生きるだろうからね。少しは君の苦しさはやわらげてあげるよ」 森は、つまらなさそうな顔で言う。 「しかし、君が死ぬとは本当に考えられないんだ」 「もういいよ、先生」 「……それにしても、悪いときに来たよ」 「?」 「前に、父が何をしているか君には教えなかったけれど……」 「森先生、お電話が入っています」 看護師がそう呼びかけた。 「今、行きます。じゃあ、夏目君。苦しかったら梶元さんに直接伝えるんだよ」 そう言って、森はベッドから離れた。
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