気まぐれ日記
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2005年09月09日(金) 離職書の行方

 来ないと思って職場に電話かけて聞いたらたら、二週間は来ないそうだ。うちの母が仕事を辞めたときは二、三日で来たそうだ。(しかも本社は東京)
 この差は一体何!?


 意外にも早くその日は来た。しかし、夏目は覚悟はしていたのでそれほどショックなことではなかった。
 体がもう長くないことを教えている。体が動かなかった。そういう病だから。
 「十真様……」
 「ごめんな、セリナ」
 「どうして、黙っていたんですか?」
 「言えなかった。言えば、現実になりそうだった。言わなくても現実になると言うのにね」
 「とにかく、先生に電話を!」
 「できれば、ここで死にたい」
 「何を言っているんですか! 十真様、諦めては駄目です!」
 「あの、ね、セリナ。ちょっと……」
 夏目はセリナによって、強制的に入院させられてしまった。

 「そういう手続きでいいんだね」
 「うん。最期はね」
 「わかったよ。もう少し生きるだろうからね。少しは君の苦しさはやわらげてあげるよ」
 森は、つまらなさそうな顔で言う。
 「しかし、君が死ぬとは本当に考えられないんだ」
 「もういいよ、先生」
 「……それにしても、悪いときに来たよ」
 「?」
 「前に、父が何をしているか君には教えなかったけれど……」
 「森先生、お電話が入っています」
 看護師がそう呼びかけた。
 「今、行きます。じゃあ、夏目君。苦しかったら梶元さんに直接伝えるんだよ」
 そう言って、森はベッドから離れた。 


草うららか |MAIL

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