気まぐれ日記
DiaryINDEX|past|will
ゆったり過ごしてます。なんか、文を打ちまくりです。なので、こっちは控えめ気味。
夕飯を子供たちと一緒に作り、美並は仕事場から出てきて一緒に食べた。 「セリナちゃん、お料理上手ね」 「十真さまのためですから。それでも、しばらくは下手でした」 「そうなんだ」 私なんかいつまでも下手っぴよ、と付け加える。 「セリナちゃん、おいしいわよ。心がこもってる」 美並がうれしそうに食べている。子供たちが順に動物園の話をする。 「へー、せい子は象さんが好きなの」 「今度、ママもいっしょに行こうね」 「そうね、必ず行こうね。せい子」 「ママ、ぼくも」 「もちろん、仁も一緒にね」 すこしうらやましかった。家族っていいなと思った。 食事のあと、電話が鳴った。美並が出ると、セリナを呼んだ。 「夏目さんからよ」 セリナが慌てて受話器を受け取る。 「もしもし、十真さま? お加減は大丈夫なんですか?」 『そんな、心配するほどじゃないよセリナ』 「でも……」 『一日いっぱい寝ていたら、すっきりしたよ。今日はずうっと本読んでいたから眠れそうだし』 「無茶しちゃいけません」 『本を読んで無茶しないって。じゃあ、セリナ切るよ』 「十真さま、私はさびしいです。早く帰ってきてください」 『うん』 たった数分の電話だった。それでもセリナにとっては重大な時間である。 その夜、井上が帰って来たのは遅かった。美並は仮眠中であと数時間したら起こすことになっている。 「お帰りなさい、井上さん」 「ただいま、セリナ。子供たちは?」 「ぐっすりお休みになってます」 「だろうね。今日はありがとう」 「どういたしまして。井上さん、お願いがあります」 「な、なに?」 「今度、仁さんとせい子さんと美並さんを連れて動物園行ってあげてくださいね」 「セリナは優しいね。うん、必ずそうするよ」 井上は、セリナのマスターが夏目であってよかったと思っている。すでに何度もそう思っているが、今日ほど思ったことは無い。普通はドールがマスター以外の幸せを願ったりしないからだ。夏目は常に他人を気遣うことを忘れないので、セリナにもそれが身についていることがわかったからだ。
|