気まぐれ日記
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始めます。 え、今日は何があったか、書かないのかって? 普通に仕事行って帰ってきたんだよ。特筆することでないけど、うちの母上がもらってきた鶏ささみを焼いて、にんにく塩で味付けして晩に食べたってくらい?
井上の子供たちはセリナが来たことだけで大喜びだった。 「ありがと、セリナちゃん。来てくれて」 美並は簡単に挨拶を済ませると、仕事に戻った。 「お母さん、セリナにどこかに連れて行ってもらっていい?」 「好きなとこにでも行きなさい」 「ああ、でも、海とかプールとかは駄目だぞ。ドールは泳ぐようにできてないからね」 井上が一応注意をしておく。 「そんなの、知ってるよ」 と、仁。 「ねー。お父さん、いつも言うよね」 と、成子。 「あの、じゃあ、動物園にでも。ごめんなさい、私、動物園にしか行ったことないんです」 「ああ、そうなんだ」 考えてみれば、夏目が遊園地に行くようなタイプではないなと思った。しかし、動物園と聞いた子供たちがうれしそうにしているので、やはり良かったと思った。 「頼んだよセリナ。助かった」 「早速お役に立てられて良かったです」 「じゃあ、お前たち、今日は早く寝るんだぞ。明日は早いからね」 井上も、明日は仕事だった。今年の夏は夏休みの子供たちの相手ができそうも無い。新作のドールの納期が迫っているのだ。だから今が正念場であり、最後の仕上げをしなければならない。 食事は、美並が手が開いた時に作ったらしいカレーが鍋の中にあった。 「また、カレー?」 「おいしいけど、違うのも食べたいな」 「じゃあ、明日私が作ります。といっても、簡単なものしか作れないけど」 夏目はセリナに料理番組を見せたりしたが、なかなかうまくならなかった。それでも根気良く続けた結果、少しであるが料理を身につけた。 それを井上は聞いたことがある。もともと、セリナとの生活を研究してドールをより人間らしくするのが彼の仕事なので夏目からは常時、そういった情報を受けている。 「やった」 「ねえねえ、ハンバーグつくれる?」 「はい。ハンバーグなら」 不機嫌であまり話をしなかった子供たちが笑っているのを見て、セリナに感謝した。
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