気まぐれ日記
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を読み終えました。 ああ、勝手に妄想してしまいそうなくらい暴走しそう。(ていうか、そういう状態)おなじみ、別作品のあの人も登場。 当分のお気に入りになりそうです。
重病人は、寝ていなくてはならない。 夏目はそう何度も言われた。ふらふらと起きていると転んで怪我でもしたら大変だとか。だから、ベッドに戻る。 ベッドに戻ったからといって、何もすることが無い。ただ呆然と天上を眺めるだけだった。 点滴の液が音もなく落ちるのを眺める。次第にまぶたが重くなっていく。身体は休むことを欲していた。彼も今は身体に従うしかなかった。 そして彼は眠る。やることが無いのは、幸いだ。
セリナは井上宅で世話になることになった。井上はすぐに飛んできたらしい。髪は乱れ、服装も何かずれてる。ボタンが掛け違えているのを玄関先で戻していた。 「夏目さんの加減は?」 「検査入院が必要と言われたそうです」 「彼は身体が弱いからね」 また、この暑さでやられたんだと井上は太陽をにらんだ。まぶしいのですぐに目を閉じ、セリナの方へ戻す。 「準備は出来たかい?」 「あと、少しです。自分の荷物は詰めました」 「じゃあ、下の車で待っているからね」 「はい」 セリナは戸締りをしてアパートを出る。後ろ髪を惹かれるように彼女はゆっくりと玄関ドアから離れた。 「実は、今日は久しぶりの休日でね」 「そうなんですか」 「こういう休日に限って、疲れていて眠ってしまうんだ。おかげで息子も娘も不機嫌でね」 「奥様は?」 「仕事だよ。あれも忙しいらしい。だから、セリナが居てくれたら少し場も和むんじゃないかと思ってね」 「お役に立てるのなら……」 「ありがとう、セリナ。きっとお前は夏目さんのことすごく心配しているだろうにね」 「でも、私には十真様を助けてあげられません。元気になって帰ってきてくれることを祈ります」 「そうか」 セリナは偉いな……いや、夏目さんがすごいのか? ドールにここまで思われる夏目が少しうらやましかった。やはり、妖精の影響は強いのだろうか。ともかく、やはりセリナのようなドールを完成させるべきだと思った。
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