気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2005年08月15日(月) 「死神の精度」

 を読み終えました。
 ああ、勝手に妄想してしまいそうなくらい暴走しそう。(ていうか、そういう状態)おなじみ、別作品のあの人も登場。
 当分のお気に入りになりそうです。


 重病人は、寝ていなくてはならない。
 夏目はそう何度も言われた。ふらふらと起きていると転んで怪我でもしたら大変だとか。だから、ベッドに戻る。
 ベッドに戻ったからといって、何もすることが無い。ただ呆然と天上を眺めるだけだった。
 点滴の液が音もなく落ちるのを眺める。次第にまぶたが重くなっていく。身体は休むことを欲していた。彼も今は身体に従うしかなかった。
 そして彼は眠る。やることが無いのは、幸いだ。

 セリナは井上宅で世話になることになった。井上はすぐに飛んできたらしい。髪は乱れ、服装も何かずれてる。ボタンが掛け違えているのを玄関先で戻していた。
 「夏目さんの加減は?」
 「検査入院が必要と言われたそうです」
 「彼は身体が弱いからね」
 また、この暑さでやられたんだと井上は太陽をにらんだ。まぶしいのですぐに目を閉じ、セリナの方へ戻す。
 「準備は出来たかい?」
 「あと、少しです。自分の荷物は詰めました」
 「じゃあ、下の車で待っているからね」
 「はい」
 セリナは戸締りをしてアパートを出る。後ろ髪を惹かれるように彼女はゆっくりと玄関ドアから離れた。
 「実は、今日は久しぶりの休日でね」
 「そうなんですか」
 「こういう休日に限って、疲れていて眠ってしまうんだ。おかげで息子も娘も不機嫌でね」
 「奥様は?」
 「仕事だよ。あれも忙しいらしい。だから、セリナが居てくれたら少し場も和むんじゃないかと思ってね」
 「お役に立てるのなら……」
 「ありがとう、セリナ。きっとお前は夏目さんのことすごく心配しているだろうにね」
 「でも、私には十真様を助けてあげられません。元気になって帰ってきてくれることを祈ります」
 「そうか」
 セリナは偉いな……いや、夏目さんがすごいのか? 
 ドールにここまで思われる夏目が少しうらやましかった。やはり、妖精の影響は強いのだろうか。ともかく、やはりセリナのようなドールを完成させるべきだと思った。


草うららか |MAIL

My追加