気まぐれ日記
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だから、もう、終わらせたいのよ。こんな十七人も書ききれるわけ無いでしょ? だから、もうちゃっちゃと終わらせたる。 そういうわけで、女たちの対談。
ファミレスにて。 「いやー、今回の旅行は楽しかったわ」 と、秋季がチョコパフェを一つ平らげた。中野家の血は彼女たちにも健在である。 「そうそう、山川のやつが腹壊して当日欠席なんて馬鹿にもほどがあるわ。おかげで柘植君がツアーを進めることになったけど……」 夏季は、フルーツパフェデラックスバージョンを半分ほど食べている。 「でも、その方がよかったわよ。山川が来たところで話は進まないし」 綾名はクリームスパゲッティを軽く平らげた。次は何を食べようかとメニューを開いている。運動系はおなかが空くと言い訳しながら。 「もう、私は幸せ。だって、一日自分で野田君をストーカーできたもの」 厚切りのステーキをフォークでつつき、貴乃は幸せそうな顔をしている。ステーキだけの笑みではない。彼女は甘いものが嫌いなので、いつもステーキや鉄火丼などを注文している。 「私も……」 可奈はブラックコーヒーを飲んでいる。砂糖、ミルクはない。 「でも、田中先輩が……」 「あー、可奈ちゃん? 恋には障害がつきものだから、玲子先輩を呪っちゃだめよ」 「そうそう、どうせ玲子先輩のことだからすぐに飽きるわ」 双子がフォローをいれ、その場をやり過ごす。 「でもさ、まさかと思っていたけどやっぱり出たわね」 「出ないほうが変よ」 「もう、あの場に可奈ちゃんや貴乃ちゃんがいなかったら、きっとあたしたち、霊に取り付かれていたわ」 「千太朗と黒岩先生は逃げ回っていたし、上田先生は見えるくせにのんきに見物していたし、良介は笑っているし、春季先輩は秀介先輩に抱きつくし……」 パキン! 可奈が使っていたコーヒーカップが割れた。きれいに半分に……。 「ほら、秀介先輩は、ホモじゃないから」 「そうそう、うちの兄貴なんざ蹴落とすに決まってるじゃない!」 再び双子がフォロー。なんとかその場を収めた。 「でも、意外だったのは斉藤先輩ですね。結構かっこいいじゃない」 「そうねえ、斉藤君は熱血漢だから。女子を守るって聞かなかったのよ。無駄だって言っても根性が許さないって」 「でも、あの身長と顔で高校生よ」 「そうなのよね」 「それにしても、柘植君。落ち着いていたわね」 「そうそう、変人(自分のことは含んでいない)ばかりのところに良く笑っていたわ」 「案外、大人物かも」 「違うわ。彼は、なれているだけ」 「可奈ちゃんが、そういうならそうだろうけど。ちょっと怖い」 「それと、冬季が知り合いっていうのも初めて聞いたわ」 「ああ、あいつね、なんか探偵にあこがれてるのよ。だからじゃない?」 「ええ? あいつが……笑いを通り越してむなしいわね」 「とにかく、山川は出てこなくて正解だったわね」 「そうね」 「腹壊して正解」 「おい、ちょっと待てい」 山川が、五人座っているテーブルの前にいた。 「あれ、山川君何してんの? バイト?」 「そうだ」 「へえ、大変だね」 「ああ、お前らが徐霊とか言って、障子やふすまや畳に穴開けてくれたおかげで弁償したからな。おかげで、向こう一年分のこずかいがパー。全くどうしてくれるんだ……」 「山川、ご馳走様ー」 「ごちになるねー」 「ごっそー様」 「先輩、ありがとうございます」 「人のおごりのコーヒーはインスタントでもおいしいです」 山川に伝票を押し付けて、五人はファミレスを出て行った。 「おめえら、覚えてろよ!」
おわり またのお越しをお待ちしてます。
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